[kenichi Sato/佐藤健一] Jim Vol 19 No 1 P70-72,2009 オーストラリアwonca参加記

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U p d a t e 0 9 オ ース ト ラ リ ア W O N C A 参 加 記

佐藤健一

JIM 第 1 9 巻 第 1 号 別 刷 2009年1月15日発行





医学書院

り,d❶e加

­



オ ース ト ラ リ ア W O N C A 参 加 記 気 多 く の 時 間 は ア ボ リ ジ ニ の 方 に よ る プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン, 音 楽 な ど に あ て ら れ ま し た . と く に 佐藤健一音楽は,虫食いで穴のあいたユーカリなどの木か らつくったI:)旧geridoo(ディジュリドゥ)の,低 音 か ら 高 音 ま で 共 鳴 して 響 く 音 の す ば ら し さ に 驚 き,同時に昔から伝わる儀式の踊りを見ながら, い に し え の ア ボ リ ジニ の 生 活 に 思 い を は せ て い ま し た . も う 一 度 オ ース ト ラ リ ア に 来 る 際 は , 彼 ら が 実 際 に 生 活 を して い る 場 所 へ 行 き , 同 じ 時 間 , 同 じ 空 気 を 共 有 して み た い と 感 じ ま し た . さ ら に ワ ー ク シ ョ ップ の 合 間 の テ ィ ー タ イム や ウェルカムパーティーなどでも多様性はみられま す. 宗 教 的 に 口 に で き な い 食 物 を 除 い た 食 事 で あ っ た り , 菜 食 主 義 者 用 の 食 事 が 用 意 さ れて い る 学 会 を 初 めて 経 験 し ま し た が, 移 民 を 多 く 受 け 入 れて い る こ と に よる , 多 槍 l 生 を 尊 重 し た 国 柄 が 十 分に表れていると感じました. 「 オ ース ト ラ リ ア に 来 ず し て オ ース ト ラ リ ア を 語ることなかれ」という大会長の言葉を反映さ せ , 筆 者 自 身 が 参 加 し た ワ ー ク シ ョ ップ や プ レ ナ リ ー の な か か ら 印 象 的 だ っ た も の を い くつ か あ げ ていきたいと思います.

皆 さ ん は l ­ u r a l ( 地 域 ) と い わ れて ど の よ う な 場 所を想像するでしょうか?それが第一にプレゼ ンターから提示された問いでした. おそらく国内の自分の故郷やテレビでよく見る

ト………yl一千……・.ゾりし………①〕・, I=・iントバト・バレTjに………丿,ご………

風景,住んでいる人の少ないような場所を想像す

さて,今回のWONCAぱAce硲brationof

る 方 が 多 い の で は な い か と 思 い ま す. し か し ,

(1沁(・rsity というタイトルのとおり,多楡匪を会

オ ース ト ラ リ ア に 行 き , 飛 行 機 か ら そ の 広 大 な 国

場 の い た る 所 で 感 じ る こ と が で き ま し た .

土を見たり,ヘルスケアシステムの違いを理解す

ア ジ ア 各 国 か ら 人 び と が 参 加 し て い る こ と に 加 え , オ ース ト ラ リ ア に 移 民 し た 人 種 の 多 楡 l 生 を 第 一 に 感 じ ま し た .

容が大きく異なることを実感できるでしょう. R u r a 1 と い っ て も 日 本 の よ う な 山 奥 と 限 ら ず,

ま ず , 開 会 式 で は , 大 会 長 は 簡 単 な 挨 拶 の み

ア 0

ると,日本とはruralmedi(lineの扱う範囲と内

道路沿いで平らな土地であっても,あまりに畑な

JIMvo1,19n0.12009­1

0917­座長09/jiご500/論文/JCLS

どが広大なために家が点在する状況であったり,

おり,お互いに建設的・実践的な意見を交換しあ

砂 漠 の よ う な 環 境 で , 本 当 に 少 数 の 方 し か 住 んで

い な が ら , グ ル ープ 内 で 議 論 を 膨 ら ま せ て い く と

い な い よ う な 場 所 も 多 数 存 在 し て い ま す. N O

い う 形 式 で 進 ん で い き ま す.

DOCTORNOHOSPITALONECEMETERY

レクチャーの内容についてはF ̄Lell(krshipと

(医者も病院もなく,1つの共同墓地のみ)という

は何か?)「医療に1e2lclershipは必要か月など

言 葉 が ま さ し く 当 て は ま る 環 境 が 今 で も 存 在 して

の基礎的なレベルではなく,いかにプロフェッ

いるのです.

ショナル同士の職場で医療的な面でのリーダー

Rura1(地域)の問題としてあがるのは,当然な が ら ア ク セ ス で す. そ れ 以 外 に も 限 ら れ た リ ソ ー スで労働力不足を補いながら,市街地と異なる医 療 を 展 開 し て い く 必 要 が 出 て き ま す. ま た , 知 識

シップを取っていくかという,かなり実践的な内 容 と な っ て い ま す. そのなかでも,1;ittlationalle21clershipという言 葉を一番最初に紹介していました.

面・教育面・研究面でも最新の情報に触れる機会

①Temng,②(:;ollsulting,③I:arti(こipating,

は 非 常 に 限 ら れ て し ま い ま す. そ の 解 決 方 法 の 1

④D(,昆1ジltingの4スタイルで,Tellingぱnlde­

つとしてe,{earningが非常に発達しています.

cide (すべてリーダーが決める),Con回1tingは W(ylltalk,nldecide (話しあうが,リーダー

そのことは出展ブースに占めるc,­12arning関連 会 社 の 多 さ か ら も 理 解 す る こ と が で き ま す.

が決める),ParticipatingぱWe11talk,we11

このように自分自身がもっている今までの概

dedde (話しあい,われわれが決める),Dele­

念のなかだけから来る思考に加え,異国の実際の

lglltingぱYoudecide,F11be21vahble(あな

様 子 を 見 て 聞 いて 感 じ る こ と で, 自 分 自 身 の 知 識

た が 決 め , リ ー ダー は い つ で も 応 じ る ) , で 表 現

のなかにrura1(地域)における多様性の1っをも

さ れ て い ま す. こ の 4 つ の ス タ イ ル を 状 況 や 対 象

てるようになったと感じました.

者の能力を評価・判断しながら使い分けていくこ と が 重 要 に な っ て き ま す. そ れ 以 外 に は 看 護 師 と

MedicaHeadersh吊函

の関係や1e21clershipについて時間を割いていま

interprofessionalpractice

した.これは,専門職としての看護師の役割が,

ruralworkshop

地域での医療やクリニックの運営に影響すること

La(lershipに関心があり,FD(FacultyDeve1­ opment)でセッションを担当した経験から,海外 での教育方法が気になりruralworkshopであっ たにもかかわらず参加してみました.当然のこと

が 大 き い か ら な の で は な い か と 推 測 し て い ま す. W引com6ミうecelで)ltionlで》8『ly, GPo にト旧yGE9訓a(:1岫几e『

ながら,筆者と香港からの参加者以外はすべて

学会の1日目はwelcomel・(lceptionparty,2

オ ース ト ラ リ ア の 方 で し た . ディス カ ッ シ ョ ン 中

日目の夜にはGPoftheyeargaladinnerが開催

心のセッションだったのですが,日本と異なる医

さ れ , 参 加 者 同 士 の 交 流 が 行 わ れ て い ま す. R e ­

療 制 度 が 絡 む 問 題 , オ ース ト ラ リ ア 英 語 の リ ス ニ

ceptionpartyでは,会場にオーストラリア固有

ン グ 能 力 とそ れ を も と に し た ディス カ ッ シ ョ ン 力

の動物が参加しており,すぐ目の前でコアラを見

が必要とされるため,ほとんど会話に参加するこ

ることができたり,ワライカワセミの鳴き声を生

と が で き ま せ んで し た .

で聞くことができました.

議 論 さ れ て い る 雰 囲 気 は 当 然 の こ と な が ら

E ) i n n e r で は 多 様 性 を 意 識 して , 参 加 者 の な か

adult硲arningtheory(成人学習理論)に基づいて

にはその国の衣装を着て出席している方もいまし

JIMvo1.19n0.12009­1

ア 1

た.ゆっくりとすすむ食事の合間にはオール

いくため壊れやすいidentityを保つための勇気を

ディ ーズ の 生 演 奏 が 行 わ れ , フ ロ ア は ダ ン ス ホ ー

もらうことができます.

ル状態となって夜遅くまでdinnertimeは続いて いきます.

家庭医療へのi(le,ntityを失いかけたと思う方, WONCAにぜひとも参加しましょう.世界の家



庭 医 は 決 し て あ な た を 裏 切 ら ず, 暖 か く 迎 え 入

前 回 に 引 き 続 き 参 加 し た の で す が, 今 回 は 思 い のほか日本からの参加が少なかった印象をもちま した.

れ , 背 中 を 押 してくれ る こ と に 気 づ く で し ょ う . 自分の行っている医療にある程度満足感をもっ ている方,ぜひとも参加しましょう.各国の医療

日本国内でも家庭医療を学ぶことのできる施設

1ミ141情・制度の違いによって,さまざまな視点や手

が 増 加 し , ロ ー ル モ デル と な る 医 師 が 増 え た こ と

段 を と る 必 要 が あ る こ と , そ して , 自 分 自 身 の 能

や, 経 済 的 な 問 題 , 時 間 的 な 問 題 な ど さ ま ざ ま な

力 に は ま だ 仲 ば すべ き 部 分 が あ る こ と に 気 づ く で

要 因 が あ っての 結 果 だ と 推 測 して い ま す. ま た ,

しょう.

国 内 で も さ ま ざ ま な ワ ー ク シ ョ ップ に 参 加 す る こ

僕が11年前に初めて韓国で開催されたWON

とができますし,やはり英語でのコミュニケー

C A に 参 加 して 感 じ た こ の 暖 か さ ・ 新 鮮 さ は , い

シ ョ ン の 必 要 性 も 影 響 して い るで し ょ う .

つ も 変 わ らず 受 ける こ と が で き ま す.

しかし,異なる文化背景のもとで家庭医療の実 践を続けている世界の家庭医と直接話をするこ

さ あ , 来 年 こそ み ん な で 参 加 して 交 流 の 輪 を 広 げていきましょう!

と,系統的にしっかりとまとめられたワーク シ ョ ップ で の 議 論 を ( た と え 会 話 に 参 加 で き な く

さ と う けん い ち

て も ) 聞 く こ と , 休 憩 時 間 に コ ミ ュニケ ー シ ョ ン

医療法人篤友会関西リハビリテーション病院

を図り,世界の家庭医との人脈を広げることは非

哆560­0054大阪府豊中市桜の町3­11­1

常に貴重な経験になりますし,家庭医療を続けて

Te1:06­6857­7756Fax:()(5­6857­7757

リハビリテーション科

[削託回UOAL日○○KN[㈲]ド◎円MATO○N

4 4 ホ j l 井 ? 奏 が 司

目 で み る ト レ ー ニ ン グ 認定内科医・認定内科専門医受験のための151題 監修 責任編集

『medicina』編集委員会 岡崎イニ昭

● B 5 頁 3 5 2 2 0 0 8 年

定価6,300円(本体6,000円十税5%) [ISBN978­4­260­O0584,5]

ア 2

内科専門医たちが選りすぐった内科臨床問題集の決定版が 登場。「目でみる」臨床所見を手がかりとする内科臨床問 題151題を収める本書は、認定医・専門医試験対策に最適 であるばかりでなく、生涯学習の友として、すべての内科 医にお勧めできる1冊。1問1問を解くたびに、診療能力が 確 実 に ア ップ す る 。

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