China Overflow To The World Over

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ジェームズ・キング インタビュー by 大野和基

05/07/09 10:20 AM

ジェームズ・キング/James Kynge イタリアの伝統的織物都市もアメリカの軍需産業都市も壊滅状態に

国外に流出する大量の中国人労働者が世界の都市の景観も 生活も破壊している (SAPIO 2006年12月13日号) 中国経済がもたらす巨大な力は、世界の国の有り様さえも変えている。その国をかたちづくる伝統や 軍事、それらを担う産業都市にも大量の中国人労働者が押し寄せ、町をまるごと奪い去っていくの だ。 後に残るのは、焼き直しされた無惨な町の姿である。『中国が世界をメチャクチャにする』の著者で 元「フィナンシヤル・タイムズ」北京支局長のジェームズ・キング氏に「中国禍」の現状を聞いた。

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中国人に吸い尽くされたイタリアの伝統産業部市 プライバシーについて

中国の産業革命がどれほど世界経済に影響を与えているか、もっと具体的に言うと、世界の産業都市 をいかにメチャクチャにしているか、私はジャーナリストとして自分の目で確かめたかった。そのた めに世界中に足を運んだが、その一つが、700年以上もヨーロッパ織物業の中心であったイタリアの 都市、プラートだった。 昨年4月、歴史都市フィレンツェからほど近いその街を訪れると、町には教会の鐘が空に響き渡り、 大聖堂には前日亡くなったヨハネ・パウロ2世の死を悼む人たちが溢れていた。一見、町の風情はそ のまま残っているように見えたが、一歩町の中心に入ると、窓に漢字で宣伝文句が書かれた美容院が 目に入った。私は中国語の読み書きができるので、書かれている漢字の意味が普通に理解できる。国 際電話が安くかけられると漢字で宣伝している店を通りすぎたかと思うと、薬草療法の宣伝、娯楽ク ラブの眩いネオンが目に入ってくる。まるで中国に戻ったと錯覚をするほど、街の景観は変わり果て ていた。スーパーの前で足を止めたが、壁に貼られたビラはすべて中国語で書かれた求人広告のビラ だった。そのほとんどは服飾工場の求人だ。 そうだ。ここはイタリア屈指の織物業の都市だった。それが今では多くの中国人が移住し、町そのも のを変貌させてしまったのだ。 中国から、バス、トラック、船を乗りついで入ってきた不法入国者にも出会った。説得するのは大変 だったが、話を聞くと、変貌に至るまでの全体像が見えてきた。 中国人たちは、プラートに着くと、最初低賃金で長時間骨身を削って働く。臥薪嘗胆そのものだ。毎 日18∼20時間も働くというから、普通なら精神的にも参ってしまう。ところが彼らはものともしな い。大量に入ってきた中国人が一丸となって働けば、どうなるだろうか。経済の一大勢力になるのは 時間の問題だった。織物工場の数も増え、小さなブームを呼んだほどだ。 当然のことながら、イタリア人も一緒になって幸せを感じたが、それはぬか喜びだった。その段階 で、根こそぎ町のものを中国に持って行かれると誰が予想できたであろうか。ここに中国人の狡滑さ がある。彼らは何年か工員として働いたあと独立し、経営者になるのだ。そしてイタリア人の元ボス を追い出しにかかる。気づいてみるとプラートの商工会議所に登録された中国人経営の企業数は1992 年の212社から03年には1753社にまで増えていた。それは細薗の増殖のようだった。 ことはそこで完結しない。 最初は、衣料製造の工程の一部を中国に外注していたのが、今は全工程を中国に移しつつある。プ ラートには、00年には6000社ほどあった繊維会社が、05年の半ばまでに3000社を切っていた。この数 字を見ただけでも、中国がこの狡滑なやり方を弄して、世界をムチャクチャにしていることがわかる だろう。 中国人に狙われたアメリカの軍需産業都市 中国が、78年の改革開放政策に転じてから、30年経つが、その経済発展ぶりは一見目を見張るものが ある。私は25年前に中国に留学して、98年からは、7年間「フィナンシャル・タイムズ」北京特派員 を務めた。正味20年以上中国にいることになるが、その間、様々な現地取材を敢行し、できるだけ一 般人に話を聞いてきた。もちろんその中には政府の役人も含まれている。そして取材を進めるにつれ て、国の世界侵食がいかに醜悪であるか、改めて思い知らされた。 その証左をもう一つ挙げよう。米イリノイ州ロックフォードは典型的な中西部の町だ。まさかこの町 を中国が侵食しているとは、にわかに想像し難いだろう。町の中心に足を踏み入れると、繁華街と思 えないほど人影が少なく、閑散としている。図書館に入って、司書に話を聞<と、企業がつぶれて従 業員がいなくなった上に、巨大スーパーマーケットであるウォルマートが町外れにできた後は、町の 中心から人が消えたという。

http://www.globe-walkers.com/ohno/interview/jameskynge.html

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ジェームズ・キング インタビュー by 大野和基

05/07/09 10:20 AM

20世紀中、ロックフォードはアメリカの軍需産業やハイテク産業の工作機械製造を担ってきた。冷戦 中、ソ連の大陸間弾道ミサイルの標的にも入っていたという重要都市である。当時、町は専門技術を 持った工学部出身者たちで溢れ、活気に満ちていた。 この町が危機に陥ったのはつい最近のことだ。切削機などの精度の高さで評判だったインガソル社は 03年に倒産したが、倒産前から、中国の買い手は虎視眈々とチャンスを狙っていた。いち早く買収さ れたのはこの会社の自動車の工作機械部門である。中国の国有企業に買収され、数十年にわたって研 究されたインガソル社の最先端の技術は設計図ごとまるごと中国本土に持って行かれた。元の会社で 働いていた熟練工たちは当然仕事を失うことになるが、彼らに残っていた道は、郊外にできたウォル マートなどのカウンターで働くことしかなかった。 こうして世界中から技術やノウハウを本国にごっそり移転する中国のやり方に、世界は太刀打ちでき ない。大量に押し寄せる安い労働カと廉価製品攻勢で、世界中の企業はずたずたにされている。 また中国政府も人民元を不当に低いレートに固定し続けようとし、労働者が賃上げ要求できないよう に労働組合を作らせない。少しでも運動しようものならリーダーは刑務所にぶちこまれる。石油の国 内価格も国際価格よりも安く抑えられ、おまけに銀行は国有だから、どれほど不良債権を抱えても表 沙汰になることはない。このような商慣習と労働慣習をもった国が押し寄せてくるのだ。世界は対抗 できない。 「終わりなき雇用危機」「倒産しない企業」 しかし、一見、高度経済成長を調歌しているようにみえる中国だが、実はそうではない。中国はよく 「自転車を漕いるのである。ゆえに政府は絶えず成長に迫られている(ちなみに2400万人といえば ヨーロッパ全体の毎年の失業者数に近い数だ)。 さらに、消費者物価指数などの一般的な指標ではインフレ傾向が顕著だというのに、工業製品の平均 価格は毎年下がっている。中国は毎年1500万台のオートバイを生産しているが、実際の販売数より 500万台も多い。売れ残ったバイクは倉庫に残り、利益はほとんど出ない。それでも大半の企業が巨 大なマーケットにこだわり生産を続ける。あきらかな供給過剰だ。倒産寸前の企業が溢れている。 銀行も返済能力がない企業に融資をやめることはない。この国の銀行は、企業を破産させると、失業 者が街にあふれ、消費不況を引き起こし、結局は銀行の利益に反することになると考える。だから中 国は世界的にも倒産が少ない。銀行と政府の考え方は同じなのだ。 このような歪みはいずれどこかで破綻するだろう。 賃金の点でみると、今の中国はイギリスの産業革命のときの半分である。それが商品の廉価の元に なっているが、その賃金はいずれ上げざるを得ない。そうなると製品価格も上がり、競争力が弱ま る。 環境保護に対してもまったく無策だ。熱帯雨林の違法な伐採、空気汚染、川や湖の汚染。最悪の例が 水だ。水が汚染されているだけではなく、中国の国土から枯渇してきているのだ。現在水道の値段は かなり安いので、農業でも無尽蔵に使われている。だが、ワイン製造に携わっている中国人に聞く と、文化大革命のときは15mも採掘すれば水が出てきたが、今は井戸の深さが800mにもなっていると いうのだ。それほどまでに水が枯渇している。節水するためには水道料金を上げざるを得なくなる。 そうなると象が自転車を漕ぐ速度も落ちてくるだろう。 今の中国は400m走に例えるとわかりやすいと思う。現在中国は200m辺りを走っているが、スタート から速く走りすぎて、頑張ったために、今かなり足が疲れている状態だ。環境が危機に瀕し、銀行な どの隠れ不良債権が膨大に膨れた状態だが、政府は無策のまま何もしようとしない。 ところが、これから賃金が上がり、石油価格も国際価格並みになると、競争力が落ちていくことは明 白だ。そうなれば、ますます自転車を漕ぐ速度が落ちてくる。漕ぐのをやめると倒れるので、やめる わけにはいかない。だが、中国がこの状態のままで行くと2010年から2015年の間には、破綻寸前まで 行くだろう。もちろんそうなれば全国で暴動が起きるに違いない。昨年は小さな暴動を入れると8万 7000件も起きたが、一昨年から1万4000件も増えている。 中国が世界をムチャクチャにしているのは紛れもない事実だ。しかし、中国国内のミスマッチ(矛 盾)が、危険水域に達しようとしているのも事実なのだ。 元「フィナンシャル・タイムズ」北京支局長

ジェームズ・キング [PROFILE]英国エジンバラ大学東洋語学科卒業。中国・山東大学留学。1985年から「フィナンシャ ル・タイムズ」記者。87∼89年東京支局駐在、98∼05年北京支局長。現在「BBC」「CNN」で中国 問題の解説者をつとめる。03年ヨーロッパ・オンライン報道賞、05年「今年の経済記者」賞を受 賞。北京在住。

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