一医院のデータベースから見 た、萎縮と胃癌の発見率 鵜川医院 ○ 鵜川邦夫・鵜川四郎 第 87 回日本消化器内視鏡学会関東地方会 ワークショップ 「実地医家のための -日常的に行われている消化器内視鏡 診断、治療工夫-」
目的
データは財産 財産を蓄えるだけでは意味はなく、どう増 やし、活用するかを考えたい
方法
一クリニック程度の規模では簡単なデータ ベースで十分である。 30 年以上の間、様々なデータを様々なソ フトウェアを用いて管理してきた。 内視鏡については 1997 年より木村・竹本 分類の記述を開始。 1997 年より現在までの上部内視鏡全症例 について後向きに解析し、傾向を見る。
当院母集団の特徴
当院は一次医療機関である 症状があって来院する患者が比較的多い 女性 > 男性 年齢分布はやや高め
萎縮の診断について
Closed type atrophy につ いては、 regular arrangement of collecting venules (RAC) の破壊、あるいは色むらの境 界などを見る。 萎縮なし : C-1 (特 にきれいな場合 C-0 ) 胃角~胃体下部にとど まる : C-2 胃体上部~噴門まで : C-3 Open type atrophy につい てはヒダの観察を加える。 萎縮が噴門周囲にとど まる : O-1 いかにも全体が萎縮し ている : O-3 それ以外 : O-2
萎縮と胃癌 (鵜川医院 n=22924, 1997/ 1/ 1- 2008/ 12/ 12) 3
癌発見率
2.5
2
1.5 1
diff
0.5
undiff 0
diff undiff
C- 0
C- 1
C- 2
C- 3
O- 1
O- 2
O- 3
0 0
0.03 0.03
0.16 0.21
0.39 0.47
0.45 0.52
0.8 0.54
1.59 0.8
萎縮パターン
なぜ木村・竹本分類が良かったか
ひとりの患者に必ず一意の診断名
比較的学習が容易
びらん、発赤、隆起、陥凹などの所見は複数の病変を 記述する可能性があり、記述漏れなどが必ず起きるた め、一意とは言えない。木村・竹本分類にはこれが無 い。 症例ごとの比較に加え、同一患者での比較をする事に より学習効率を上げる(これもデータベースを活用)
つまりこの分類は、データを収集しやすく且つイ ンデックスとなり得る良い分類法
その他の活用例 年令と内視鏡的萎縮パターン (1997,1~ 2008,10, n=11,301, 重複症例なし, 鵜川医院) 70-
60- 69
年令
50- 59
40- 49
30- 39
20- 29
- 19 0%
10%
20%
30% (C- 0)
40% C- 1
50% C- 2
C- 3
60% O- 1
70% O- 2
80% O- 3
90%
100%
データ収集のための工夫
均一化のための工夫
データの見直しを常に行う
エラーデータがないかどうかをマメにチェックするこ とが大切
長い期間、データを収集することが大切
診断の基準などは繰り返し学習し、すり合わせをする 必要がある
サンプルを大きくすればするほど後向きであっても信 頼性が増す
母集団の偏りはわきまえる
当然だが自分のデータがすべてではない
院内電子カルテでデータベースを運用 する方法の一例 院内サーバーを立ち上げる許可を得る
• •
Web サーバーをインストールする Web データベースを使用する
• • • •
4.
一定のセキュリティを確保することで許可を 得ることは可能
電子カルテ端末では Web ブラウザを使用 拡張が簡単に出来る
エラーチェックが出来る仕組みにしてお けばさらに便利