ボイトレ通信3月号
初めて良さが分かるというような音楽を製作 しても、そんなリスナーは数少ないのです。 皆さんもイヤホンを使って音楽をお聞きにな ると思いますが、どんな音楽(伴奏音)がイ ヤホンに向いているのか?という事を肌で感 じ取ってみてくださいね。 さて次に重要なことが、私達の存 在をどうやって世の 中に知ってもらえば いいのか?という事です。 実は、これにも大きなヒントが隠されていま した。 皆さんもライブなどをされている方もおられ ると思いますが、私はオリジナル+カ バーを1曲以上入れることをお勧めし ます。 おいおい、ちょっと待てよ!音楽事務所のく せにカバー?何言ってんだコイツ?と思われ たかもしれませんが、少々お待ちください! これはあくまでも宣伝するためにカバーをす る訳です。実は、ココがミソ! SONYの eyeVio というサイト(you tube みたいなもの)がJASRACと契約をしま した。今までなら、カバー曲を歌った画像を アップロードしてもSONYが見つけ次第削 除していたのですが、JASRACとSON Yが契約をしたことにより、利用者は1円の 負担も無く、そして合法的にカバーをアップ ロードして世間に広める事ができるようにな ったんです。 これが、どうして凄いのか? インターネットの特性を考えてみましょう。 例えば、 島谷ひとみさんが大好きだとします。 ネットで 「島谷ひとみ+動画」 と検索します。 そうしますと you tube などの画像掲示板に たくさんアップロードされた動画を発見でき ると思うのですが、もしも私が島谷ひとみさ んの亜麻色の髪の乙女という曲をライブで演 奏したとして動画を撮影しておいて、ここに アップロードしたとすると私が島谷ひとみさ んでは無いにも関わらず、同じ検索画面に引 っかかってきます。 なぜ?ネットにはタグというものが あるからです。このタグというのは、通常は 自分で引っ付けることができて、上で説明し た例の場合だと「小西 島谷ひとみ 亜麻色 の髪の乙女 ボーカリスト 歌手 ライブ映 像」のように引っかかりやすそうな文字を埋 め込む訳です。つまり、島谷ひとみさんのフ
皆さん、お元気ですかーーーっ!先日、レコ ードの年間売上が発表されましたが、残念な がらシングル・アルバム共に前年に至らず減 少傾向に歯止めはかからなかったようです。 (平成18年シングル504億6400万 円)→(平成19年467億8800万円) あれあれ∼と思って調べてみたら、物凄い数 字をはじき出している部門がありました! 有料音楽ダウンロード前年同期比141%達 成!(754億8700万円)この数字、い ったいどれくらい凄いのか?というと、平成 19年の音楽ソフト (CDやDVDなど含む) の総売り上げ金額3911億1300万円の 実に5分の1に迫る 金額なんです。 ほんの数年前は配信は全体の10分の1くら いと言われていたのですが、恐ろしいまでの 伸びを示しています。 配信は1曲で100円∼300円前後だと思 いますが、CDは1000円(アルバムだと 3000円弱)売れている数だけで言えば、 圧倒的に配信に世の人々は移行していってい ると思って間違いないでしょう。 私達みたいな、これから世の中に自分の存在 を知ってもらおう!と思っている歌手軍団に とっては、この1∼2年が本当の勝負ではな いか?と私は思っています。 数年前だと配信の楽曲と言うのは、音質が悪 いものだ(データを軽くする為に、わざわざ 劣化させていた)と言われていました。しか し、今では、配信でも十分に視聴に耐えうる 楽曲を製作する技術が発達していますので、 一般のリスナーの方が配信の音源は 悪い と 思わなくなっていると思います。 とりわけ、今の若い世代の人は自宅にパソコ ンすら持たず、全て携帯でまかなうという人 も少なくありません。同じ配信の世界の中で も急速にパソコンから携帯へという移行が始 まっていると思って間違いないと思われます。 さて、配信市場を大きな責め場所に 選べばいいんだな!という事は分かりました。 次に我々は、どんなことをすればいいのでし ょうか? 1つ目は、配信をするということを前提にし た音源の製作です。先ほども書きましたが、 多くのリスナーの皆さんが、イヤホンで音楽 を聞く時代です。立派なスピーカーで聞いて 1
ァンの人に、カバーしている人が居るよ∼と 無理なくアプローチできるという訳。 ネットの世界では、だいたい1%の人は何ら かの好感を持って受け入れてもらえるという 反応率が存在しています。 残る98%は無視。残る1%は反感を持つと いいます。 無視や反感は、余程の事が無ければ、気にす るような事ではありません。むしろ、自分の 事を好きと言ってくれる人だけにエネルギー を割き続ける事がネットで成功する術なので す。 批判などの書き込みがあったら、潔く 。 「削除」 ネットの世界の出来事なので、遠慮は一切要 りません。 ここは、重要なのでもう一回。批判など自分 の意に沿わない意見の書き込みは即「削除」 でOK! さらに、自分に好感を持ってくれた人の中の 2割前後が何らかの買い物をしてくれると言 われています。 つまり1万アクセスあれば、100人にはだ いたい好きになってもらえるという確率で、 その内の2割くらいの20人は何か買ってく れるんです。 (あくまで統計的なものです) You Tube だけで商品のキャンペーンを行っ ているアメリカのジューサーミキサーの会社 があります。 B l e n d t e c ( http://www.youtube.com/watch?v=qg1ck Ckm8YI) ここは多分プロの映像会社なんかに依頼して やっているんだと思いますが、実に上手いで す。 例えば、iPhone という商品が発売されたら、 その興奮が醒めないうちに、なっ何と! iPhone を自分の会社のミキサーで粉々にし てしまうんです。 この会社が言いたいのは、 iPhone も粉々に出 来るんだぜぃ!というミキサーのパワーなん ですが、今の世の中でジューサーミキサーが 欲しくて欲しくて仕方が無い!という人はま ずいませんね。 ネットで凄い投資をして素敵なホームページ を作ったところで、そんなにアクセスがある とは思えません。 ところが、 iPhone が欲しい人は一杯いますか ら、ネットで iPhone と検索する人は山ほど
います。 その人気にうまく乗じて、 iPhone が検索され たら同時に引っかかるように、この会社は自 社の宣伝をやったわけです。 大半は、 ただ面白がって見るだけなのですが、 どんな場合でも一定の割合で「買う人」が出 てきます。 私が、この会社は上手いな∼と思ったのは、 このミキサーが約10万円もするところです。 ちょっと考えるとジューサーミキサーに10 万?ダイソンの掃除機だって今や10万はし ませんよね?
You Tube で iPhone を粉々にしただ けで。。。。3,713,956!アクセス こんなにもアクセスがあります。この内の1%の 人がミキサーに興味を持って、さらにその中の 2割が実際に買うとすれば。。。747人が買う計 算ですよね。 で、10万円だから→7470万円の売上っす よ!iPhone が6万円だとしても、めちゃくちゃ儲 かるわけです。 しっ、しかも You Tube はタダです。
このブレンドテックという会社のやり方は、応用 すればアーティストも色々使えそうです。 知恵を絞ってみてくださいね。 で、今まではカバーをしてネットで見てもら うことが合法的ではなかったんですが、SO NYの eyeVio だったら合法的にやれるんで す!という事なんです。 つまるところ、大物アーティ ストさんのお名前で ちゃっかり自分の宣 伝が出来るということなんです。 スゴイでしょ? 動画は、1本しか上げてはいけないというル ールは今の所ありません。カバーとオリジナ ルを両方アップロードして、うまく検索して もらえるような「タグ」をつければいいんで す。 さぁ、頭の良いあなた様なら既に私が何を言 いたいのか?お分かりですね。 まず配信で音楽を買ってもらおう!これが一 番目にきます。 そして、どうやって自分が配信をして音楽を 販売していますよ∼と宣伝をしていこうか? これが2番目です。ここのところに動画を活 用します。それも、今既に人気があってある 2
一定数のアクセスが見込めるアーティストさ んのカバーを行う事により自然にアクセスの 集まる流れを作るのです。 例えば、人気アニメの主題歌なんかどうでし ょうか?バンドさんを従えている方なら、バ ンドアレンジなんか結構面白がられて見られ る可能性は高いんじゃないかな∼ まずはカバーで自分自身を気に入ってもらっ て、それでオリジナルもやってるんですよぉ ということを「タグ」で宣伝しておくわけで す。 このやり方なら、大手のレコード会社と私達 のような小さい会社や個人も対等に闘えると 言うことが重要! テレビやラジオに出て華々しくデビューした いと思うのは人情です。 それは、分かります。 しかし、冒頭でも書いたようにレコードの売 上が下がり続ける中で、レコード会社が専属 アーティスト契約をしてくれて、尚且つ楽曲 の開発費を負担してくれてアーティストが 悠々自適の音楽制作だけやってればいいんだ という時代は過ぎました。 そう言うアーティストは、全体の数%しかい ません。 あなた様にチャンスが無いという意味ではい のですが、 チャンスを待って何もしないより、 今は堂々と戦える手段があるよ∼ということ を知っておいて欲しいのです。 そして、音楽もビジネスでやっていく以上投 資が必要です。 では、 どこに投資すれ ばいいの? という事なのですが、私は「楽曲」であろう と思っています。 シンガーソングライターの方も居られると思 いますが、そういう方はできるだけ早い段階 でマスター音源を作っていかれたらいいでし ょう。 また、シンガーの方は作家さんと積極的に出 会えるように色んなところにアクセスしてみ るのもいいと思います。 楽曲数というのは、いわば自分自身のカタロ グのようなものです。 音楽は、究極の趣味だと私はいつも言うので すが、これほど「好き」か「嫌い」かが個人 で分かれる商品も少ないです。 ですから、カタログのページ数=つまり楽曲 数は多ければ多いほど、自分のことを気にし
てくれるお客様が増える可能性があるという ことになります。 Aの曲は好きだけれど、Bの曲はあんまり好 きじゃないということがあったとしても別の 人はこのまったく反対の意見でBの曲が好き で、Aの曲はあまり好きじゃないという現象 が起きます。 以前なら、レコードのA面は好きだけどB面 は好きじゃないという話しなのですが、レコ ードですからAもBも同じパッケージの中に 入っていて買わざるを得ませんでした。 しかし、配信は1曲づつ買います。 つまり、 好きじゃない曲は買われませんので、 たくさんの楽曲数があるほど買ってくれるお 客様数が増えるという可能性が高くなるので す。 お客様数が増えれば、自然に「ファン」にな ってくれる人が増えます。歌手の仕事はファ ンを増やすこと!(先月号で紹介しました) この一連の流れがうまくいくと、ライブハウ スののノルマも怖くありませんし、配信でコ ンスタントに売上を上げていくことも難しく はないんじゃないかと思っています。 しかし、これもいつまでも続く訳ではありま せん。総務省がネットの規制に動き出そうと しています。まだどんな法律ができるのか分 かりませんが、個人のホームページも規制の 対象にするという厳しい内容で検討をしてい るようです。 もしかしたら、ネットを使って自由に宣伝で きるのは今しかないチャンスかも知れません ね。
著作:IQg Inc 2008.4.9
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