人 間 の 経 済 ゲ ゼ ル 研 究 会
通巻221号、2008年7月7日 発行
週 ・・第刊 企大2マ 業恐3ー の慌9ケ 甘を号ッ い上(ト 収回〇レ 益る八タ 見米年ー 通住七 し宅月 価七 格日 の週 下号 落) 曽 我 純
目 次
る う 貨 幣 権 力 を 溶 融 せ し め ん と し て こ の シ ン ボ ル を 掲 げ る こ と と す る 。
黄 金 を 溶 か す と さ れ た 。 今 日 、 人 間 や そ の 経 済 、 環 境 に 対 し て 猛 威 を 振
表 紙 に あ る ス リ ー ク ロ ス ( 三 重 の 十 字 ) は 、 欧 州 中 世 に 於 け る 錬 金 術 で
年7月7日週号︶
曽我 純
1
週刊マーケットレター、第 号 ︵
08
239
為替レート
7月4日(前週)
1ヵ月前
3ヵ月前
円ドル
106.75(106.10)
105.2
101.45
ドルユーロ
1.5700(1.5790)
1.544
1.5735
ドルポンド
1.9825(1.9945)
1.9545
1.993
スイスフランドル
1.0235(1.0185)
1.0425
1.0055
日本
0.92875(0.92750)
0.92
0.91125
米国
2.78938(2.79125)
2.67188
2.7275
ユーロ
4.95688(4.94875)
4.86188
4.745
スイス
2.80000(2.78833)
2.775
2.89667
日本
1.640(1.610)
1.74
1.335
米国
3.97(3.96)
3.98
3.46
英国
4.95(5.03)
4.96
4.43
ドイツ
4.49(4.53)
4.41
3.96
13237.89(13544.36)
14435.57
13293.22
TOPIX
1297.88(1320.68)
1430.47
1288.94
NY ダウ
11288.54(11346.51)
12390.48
12609.42
S & P500
1262.90(1278.38)
1377.2
1370.4
ナスダック
2245.38(2315.63)
2503.14
2370.98
5412.8(5539.9)
5970.1
5947.1
6272.21(6421.91)
6965.43
6763.39
CRB 指数
472.36(464.40)
416.75
395.09
原油(WTI、ドル/バレル)
145.29(140.21)
122.3
106.23
931.9(929.3)
879.9
909
短期金利(3ヵ月)
長期金利(10 年債)
株 式 日経平均株価
FTSE100(英) DAX(独) 商品市況(先物)
金(ドル/トロイオンス)
表 1: 主要マーケット指標
2
■ 大恐慌を上回る米住宅価格の下落
原油価格はまさに天井知らずの勢いであり、とうてい説明できるような価格ではない。
米国や日本の景気はすでに後退しているなど、世界的に経済は大幅にスローダウンしつつ
あり、今後、原油をはじめとする資源の需要は減退するだろう。これまで世界の景気循環
と資源価格は後者が遅行する形で変動していた。商品市況は景気にすなおに着いていって
倍に上昇したにすぎない。日本にいたっては
ドル弱から先週末には145ドルへと7倍強に高騰し
いたのである。いつまでも景気に逆行する状態が続くことはなく、年内には資源バブルは 年初めのバレル
崩壊するだろう。 原油価格は
たが、米消費者物価指数は、その間1・
しい値上りを引き起こさなかったのは、労働コストの削減に加えて、GDP1単位当たり
の資源投入量の減少、中間段階での効率的な生産による吸収、などが考えられる。
米国の物価は景気悪化による需要減少にも依存しているように思う。米住宅産業や自動
車産業の未曽有の不況が、値上げを通用し難くしているのではないだろうか。米個人消費
%利上
支出物価指数のコア︵食品・エネルギーを除く︶は5月、前年比2・1%と3ヵ月連続同率
の伸びとなり、エネルギーの高騰は遮断されている。欧州中央銀行は3日、0・
過去半年ほとんど変化がなく、インフレが切羽詰ったところまで迫っているわけではない。
げしたが、食品・エネルギーを除くユーロ圏の消費者物価指数は5月、前年比2・5%と
25
3
20
ほとんど上がっていない有様である。原油をはじめとする資源の急騰が、最終需要財の激
22
02
住宅需要の激減によって、米住宅価格の
年1
値下がりは4月、前年比 ・3%減と過去
最大の下落となった。前年割れは
・Jシラーによれば大恐慌が収まらない1 932年の ・5%減を超え、過去にな
月を追うごとに減少率は拡大、ロバート・
月以降だが、今年1月から2桁減となり、
07
16
い値下がりに見舞われている。
やっとの思いで手に入れた住宅が、 2
桁の価値を失っている事態に、 米家計は
直面している。 これまでに経験のないこ
とだけに、 米家計がどのような行動にで
るかわからない。 だが、 消費マインドに
あらわれているように、家計のショックは
大きく、 消費支出は著しく絞り込まれる
だろう。 住宅資産の値下がりが、 株式に
も影響しつつあり、 米国経済は、 資産暴
落の恐怖と資源高騰による物価上昇懸念
というストックとフローの相反する変動 に脅えている。
4
10
住宅価格の下落は米国だけでなく、 欧
州でも景気の不安材料となっている。 イ
ギリスの住宅は6月、 前年比6 ・ 3%減
と3ヵ月連続のマイナスだ。 昨年央には
月以来の下落と
%近くまで戻していたが、 その後急激 に悪化しており、 年
大 都市商業地は前年比
年3月末︵
・6
19
11
は上昇、 商業地の値段は反落傾向を強め
激しくなるにつれて、 オフィスの空室率
早くピークを付けている。 景気の下降が
%︶ がピークであり、 住宅地よりも半年
桁増だが、伸び率は
・ 9%とまだ2
年9月末の8 ・ 3%から鈍化した。 6
月末の6大都市住宅地は前年比4・1%と
がっている。住宅需要の不振によって、3
しており、 住宅不況は世界的な規模で広
日本も都市部のマンション価格が下落
加速させる恐れもある。
つあり、 利上げが住宅価格下落の動きを
なった。 欧州大陸も住宅バブルが弾けつ
12 07
5
92
10
07
%と3四
るだろう。特に、外資による投機資金の流入で値上りした商業地は、資金の引き上げ等に より、大幅に下落するかもしれない。
■ 企業の甘い収益見通し
6月調査の﹃短観﹄︵7月1日発表︶によれば、業況判断は大企業全産業で
年6月調査以降5四半期連続のマイナスである。9月までの先行きもすべて悪化す
半期連続で低下した。中堅企業はマイナス4%とマイナスに転じ、中小企業はマイナス %と
年度上
年度︵6・1%︶から大幅に鈍化
ると予想しており、企業マインドは冷えているが、過去の底に比べると、まだ高く、本格 的に悪化するのはこれからだ。 年度の大企業製造業の売上高は前年比3・5%と
年度上期の大企業経常利益は前年比
・ 1%減と
年度下期よりもさらにマイナス
景気はさらに悪化する方向にあり、企業予想はきわめて楽観的と言わざるを得ない。
期は0・3%の減収を見込む。ただ、下期は3・7%増と回復を想定しているが、米国の
する。国内はそれほどかわらないが、輸出が著しく低下すると予想し、特に、
07
07
転じるというシナリオを描いている。6月
日発表の﹃法人企業景気予測調査﹄も同じよ
うに下期の経常利益回復という内容だ。だが、収益回復を想定しながら設備投資は上期の
6
07
幅は拡大する見通しである。ところが輸出の回復などにより、下期は4・0%のプラスに
22
23
16
10
08
08
08
2桁増から下期は微増、﹃法人企業景気予測調査﹄では大企業非製造業が9・3%のマイ ナスになるため、全産業でも3・6%減少する見通しである。
営業日連続の前日
消費の低迷が続く中、設備投資が不振になり、米国経済の下降に歯止めが掛からなけれ ば、下期の企業収益はさらに悪化するかもしれない。日経平均株価は を見込んでいるにすぎない。﹃短観﹄によると、
年度の大企業全産業当期純利益は1 ・
比マイナスと騒がれているが、株価収益率算定の1株当たり利益は今期、2・3%の減益
12
3%増加する計画だが、世界的な景気悪化のなかでは2桁の減益は避けられないだろう。 日本株は依然割高である。
7
08
﹁人間の経済﹂ 、通巻
号
二〇〇八年七月七日 発行 編集・発行 ゲゼル研究会
- 横浜市神奈川区子安通3丁目
Gesell Research Society Japan http://www.grsj.org/
[email protected]
番地 森野榮一気付
321
221
Gesell Research Society Japan all rights reserved 許可無く複製・再配布を禁ず
221 0021
頒価1ワット ゲゼル研究会