■3 月 05 日(月)20 時 26 分 DIR EN GREY のジャケットまわりの制作進行を担当しているシバです。 2/13(19:29)付、カタオカダイアリーをご覧になられた方は気付いたかもしれませんが・・・ 京が、今回のアルバム購入者限定 T シャツを着用している写真が掲載されています。 実は、一足先に校正で出したサンプルなのですが、京以外のメンバーも早速ライブで着たりして 好評だったようです。 T シャツの印刷作業も難しく、生地にプリントするまでは仕上がりが分かりません。そのため、気 に入ったデザインを入稿してもイメージ通りにできるのか、サンプルが出るまでは期待と不安が 混在します。 今回の T シャツデザインですが、メンバーのなかで既に『THE MARROW OF A BONE』のイメー ジが固まっていたので、スムーズに決まっていきました。 雰囲気のある仕上がりを狙ってシルバーインクを使ったのですが、いい感じに出来上がっている のではないでしょうか? デザイナーの依田氏ともども、一安心です。 現在“COMMENT”にて、依田氏をはじめ『THE MARROW OF A BONE』に関わっていただいた方 のコメントを展開中です。 制作秘話など、“COMMENT”でしか読めない内容も掲載しています。 ぜひ、そちらもご覧ください。
シバ
2 月 25 日(日)16 時 22 分 メンバーは現在、5 人ともステージの上。ついさきほど、ようやくリハーサルが始まったところ だ。 『THE FILLMORE』の館内は無機質なほどの四角い空間だが、天井からはシャンデリアが吊り 下げられていたりする。バルコニー席もオペラ座の怪人が潜んでいそうな風情だし、楽屋や階段 がえらく狭かったりするところにすら歴史が染み付いている気がする。あの『ウッドストック』 の頃、つまり 1960 年代末期からあった会場だという事実は曲がりなりにも知っていたが、改めて その歴史について調べてみたところ、いわゆるロックのライヴ会場として知られるようになった のは 1966 年のことで、1950 年代には先頃亡くなったジェイムズ・ブラウンなども出演していたの
だという。しかもこの会場、それよりもずっと前に、1910 年代にはダンスホールとし てオープンしていたのだそうだ。まさに全米、いや、世界屈指の由緒正しいライヴ会 場といえるだろう。 また、この『THE FILLMORE』は、会場独自の公演ポスターを作っていることでもよく知られ ていて、2 階フロアの壁はさまざまな時代の、さまざまなアーティストたちのポスターで埋め尽く されている。ジミ・ヘンドリックスやジャニス・ジョプリンもこのステージに立ってきたし、 LED ZEPPELIN も ROLLING STONES も THE WHO もこの場所に熱狂の渦を巻き起こしてきた。そ して今夜、超満員の観衆を前にツアー最終公演をここで行なう DIR EN GREY のポスターも、近く、 この館内の壁で歴史を語ることになる。で、そんな超レアなポスターたちにそそられつつ、「ス キあらば盗んでしまえ!」という悪魔の囁きに打ち克つのが精一杯の筆者であった。いや、でも マジでこの館内は一見の価値アリ。サンフランシスコにお立ち寄りの際は、めぼしいライヴがな くてもこの会場に足を運んでみることをおススメしたい。
文 ●増田勇一
2 月 25 日(日)14 時 06 分 リハーサル開始までまだ少し時間があるので、本日の会場『THE FILLMORE』の周 辺をプチ観光気分で散策。ここは地図的にはサンフランシスコ市街地のど真ん中に位置する ジャパン・タウンのすぐ近く。巨大なジャパン・センターのなかには紀伊国屋書店を筆頭に さまざまな店がひしめいていて、日本人が日本的な生活をするために必要なものならほぼ何 でも手に入ると言っていい(値段はともかく)。また、さまざまな飲食店が軒を連ねているので、 日本食が恋しくなったなら、ここにくればすべては解決される(味は保証しないけど)。そんな ジャパン・タウンのなかにも、今夜のライヴに備えて腹ごしらえをしているファンの姿がちらほ ら見られた。 そして会場の前は、もはや当然のごとく長蛇の列。最前列のグループは昨夜から並んでいると
いう。しかも昨夜は雨が降ったのだとか。会場まであと約 4 時間の辛抱、である。
文●増田勇一
2 月 25 日(日)10 時 32 分 ぐっすりと眠っているうちにツアー・バスはカリフォルニア州を北上し続け、このツアーの最 終公演地であるサンフランシスコに近づいてきた。車窓からはロサンゼルスとはまったく趣の違 った町並みが見える。 「最終日か……」 車内前方のラウンジスペースで、ふとそんな言葉を漏らしたのは早起きの DIE。 「これで終わりか、と思うとなんか寂しい気持ちになる」 これがツアー終了間際のミュージシャンの本音というものだろう。実際、オープニング・アク トを務めてくれた 2 組のバンドたちも、昨夜、同じような言葉を口にしていた。たとえば FAIR TO MIDLAND のメンバーたちはこんなふうに語っていた。 「ツアーが終わって家に帰れるのが嬉しくないはずはないけど、このツアー自体が終わってしま うのはなんだか寂しいね。実は俺たちにとって、アメリカ全土を回るこうしたツアーは、今回が 初めての体験でもあった。限られたエリアでのライヴはたくさんやってきたけど、これが正真正 銘の“初の全米ツアー”だったし、俺たちにとっては一生忘れられないものになると思う。それ が DIR EN GREY とのツアーだったことを光栄に思うよ」 また、BLEED THE DREAM のギタリスト、デイヴは次のように語っていた。 「昨夜はすげー感動した。『THE AVALON』にしろ『THE WILTERN』にしろ、地元出身の俺にと っては長年の憧れの場所だったし、そのステージに生まれて初めて立てたんだからね。『TASTE OF CHAOS』のツアーでデカいアリーナでやったことはあるけど、それ以上に思い入れの深い場 所でやらせてもらえただけで大感激だったし、昨夜はうちの家族もみんな観に来てくれたんだ。 俺はかれこれ 15 年くらい音楽をやってるけど、こんなにツアーが楽しかったことは俺の人生のな かで初めてだよ。これがもう終わってしまうなんて、なんだか悲しいね。もう 1 ヵ月続いてくれ たらいいのに」 実際、本当にもう 1 ヵ月続いたなら、さらなるプラスの作用も期待できると同時に、何らかの マイナス作用が生じる危険性も高まることになるのかもしれない。が、とにかく DIR EN GREY は、 きわめて理想的なカタチで自己初の全米ヘッドライン・ツアーに幕を閉じようとしている。今か ら 24 時間後には、一行は帰国便の飛び立つ空港にいるはずなのだ。
文●増田勇一
2 月 24 日(土)22 時 08 分 写真はまさに、終演の瞬間。この夜のライヴはすごかった。ブッキング・エージェントのマイ ケルは「昨日も良かったが、今夜は、何がどう違ってたということじゃなく、とにかくものすご かった」と語りつつ頬を緩めている。僕もまったく同感。ときどきライヴ・レポートなどのなか で、京のステージ上でのたたずまいについて“何かに取り憑かれたような”という形 容をすることがあるが、この夜の彼にはまさに天から降臨してきた何かに突き動かさ れているかのような、言葉では説明し難い凄味を感じさせられた。 終演後、日本からわざわざ観に来たという 23 歳の男性と会場前で出くわし、少しだ け話をした。自身も音楽の道を志しているという彼は、興奮気味に、次のように語っ ていた。 「いつか絶対に海外で彼らを観たいと思っていたし、しかもロサンゼルスなら音楽面 で吸収できることもあるんじゃないかと思ったので、思い切って来てしまいました。ライヴはと にかくすごかった。何かが違うんですよね。普段から彼らのライヴを観られるわけじゃないこっ ちのオーディエンスの“熱さ”も感じたし、モッシュとかが起こっちゃうのもアメリカっぽいで すよね。改めてすごく刺激をもらったし、自分でもいつか DIR EN GREY みたいな活動ができるよ うになりたい」 語弊のある言い方かもしれないが、ぶっちゃけ、好きなバンドを追いかけて海外まで足を伸ば してしまう類のエネルギーを持ったファンは、女性であることが多い。思い立ってから行動に移 すまでのスピードの速さだとか、行動そのものの大胆さといった部分では、女性のほうがずっと 勝っているよなあと感じさせられることが多々ある。それを経験的に知っているつもりだからこ そ、彼のようなファンがそこにいたことが僕には嬉しかった。べつに、日本の男性ファン全般に 向けて「海外まで観に来い!」と言っているわけじゃない。が、性別も年齢も関係なく、もっと 音楽ファンには自分の好きな音楽やバンドに対して行動的であって欲しいな、と思う。ちなみに 僕が初めてアメリカに飛んだのも彼と同じくらいの年齢の頃で、やはり「これを観なければ一生 後悔する」と思えたライヴを観るためだった。今さら年齢を隠してもしょうがないので白状する と、1983 年のことだった。お金もなかったし、渡航費用も分割払いで無理して払ったが、あのと きの経験がなかったら、僕は今の仕事に就いていたかどうかわからない。 さて、そんなことはともかく、終演後の楽屋はタイヘンなことになっていた。どうやら今日は メンバーの誕生日(もちろん Shinya のことである)で、パーティーが催されるらしいという噂が 急速に広まったらしく、気がつけば彼らの楽屋は人、人、人でぎっしり。昨年夏の『THE FAMILY VALUES TOUR』で仲良くなった BULLETS AND OCTANE のギタリスト、ジェイムズも友達を連 れてやって来たし、昨夜に引き続き PIGGY もやって来た。ライヴには間に合わなかったものの、
ちょうどこちらに帰ってきていたスコット・ギャレット(J との活動でお馴染み)も駆 けつけてくれた。バー・カウンターのなかでは BLEED THE DREAM のメンバーたち がバーテンダーと化しているし、FAIR TO MIDLAND のメンバーたちは DIR EN GREY の面々と談 笑している。さらに両バンドの友達、関係者、わけのわからない人たちもたくさんひしめくなか、 主役は今夜も Shinya だった。 ちなみにこの日 2 つめのバースデイ・ケーキはご覧のようにちょっとお下劣なもの。この見た 目と色調に食欲をそそられる人というのは、ほぼ皆無だと思う。パーティーはツアー・バスがサ ンフランシスコに向けて走り出さなければならないギリギリの時刻まで続いたが、その詳細につ いては敢えて文字にせずにおくことにする。というか、僕自身もそれなりに酔っ払っていたもの で。 文●増田勇一
2 月 24 日(土)17 時 07 分 現在、場内ではオープニング・アクトの BLEED THE DREAM がリハーサル中。自分たちのリハ が終わってしまうと、メンバーたちが実際にステージに立つまで、5 時間近く空いてしまうことも ある。その間に、たとえばスタッフはライヴ終了後の食事の手配などにも追われることになる。 今日は深夜にサンフランシスコに向けて発つことが決まっているので、どこかに食事に立ち寄る 時間的余裕はない。ということになれば当然デリバリーを頼むことになるわけだが、この日は近 くの日本食レストランに注文することになった。ピザやハンバーガーやタコス以外の何かが簡単 に調達できるのは、大都市ならではの利点。メンバーたちもこういうときばかりはさすがにメニ ューを見る目が真剣だったりする。 鏡の前で髪を切ってもらっているのは Shinya。ハサミを握っているのは国内でのツアーや撮影 のときには欠かせない山口氏。実は彼、今回のツアー・スタッフには含まれておらず、しかも自 腹でこちらまでに観に来たというわけでもない。なんと、年末恒例の打ち上げのビンゴ大会で、 特等の『アメリカ・ツアーご招待』をゲットした強運の持ち主なのである。しかし、“ご招待” であるにもかかわらずハサミ持参の山口氏もサスガだが、ここぞとばかりにツアー中に伸びきっ た髪を切ってもらうメンバーたちもしっかりしてるよなあ。ちなみに昨日は薫、Die の髪にもハサ ミが入っていた。 ちなみに僕がそのビンゴ大会で手に入れたのは、グミとジェリービーンズの詰め合わせ。こう いう落差があるからビンゴは楽しいのだな。
文●増田勇一
2 月 24 日(土)15 時 31 分 場内ではリハーサル中。大きな背中は PA 担当のリック。 ステージ上でのクルーたちとのやりとりに関しても、メンバーたちはもはや、いちいち通訳を 挟まずに進めるようになっていたりする。音のニュアンスだとかモニターの聴こえ具合の微妙さ だとかについては、本人以外には正確に言葉にできない部分もあるし、そこでいちいち通訳を介 して会話していたりすると、時間がかかるだけじゃなく、ますますニュアンスが遠くなってしま ったりすることもある。こうして必要に迫られながら人間は言葉をおぼえていくのだなあ、と、 改めて実感。 その外観からは想像しにくいかもしれないが、『THE AVALON』の内部は、かつての赤坂 BLITZ にそっくり。ただし、『THE PALACE』時代には2階には座席があったのだが、現在は1 階/2階とも最後方に VIP エリアっぽいソファー席があるだけで、あとはすべてスタンディング のフロアという構造。いつかここで、彼らが5夜公演とかやることになったりして……なんて思 いが、ふと頭をよぎる。 さて、外のほうはどんな具合だろうと思いつつ偵察に出てみると、行列はさらに延び、通りの 角を曲がってハリウッド・ブルヴァードの歩道を占拠しつつある。スターたちの名前が刻印され たウォーク・オブ・フェイムの脇に行列が延びている、という図もまさにハリウッドならではだ。 が、そこで突然、ヤバいものを発見。なんと、いわゆるバッタもんの T シャツを売り歩いている おっさんがいるではないか。僕が証拠を押さえてやろうとカメラを向けると最初はにこやかにし ていたが、首から下げていたパスに気付くやいなや「ヤベっ!」とばかりに逃げていってしまっ た。良い子の皆さんはこういうもの、買わないように。しかし実際、こうして海賊商品まで出回 りつつあるという現実が、DIR EN GREY のこちらでの人気ぶりを実感させてくれるのも確かだ。 要するに「このバンド、商売になるでえ」と考えているオトナたちが確実にいる、ということな のだから。
文●増田勇一
2 月 24 日(土)11 時 26 分 今夜の公演会場である『THE AVALON』に到着。2006 年 3 月、DIR EN GREY がニューヨークで ショウケースを行なったのも同名の会場だったことを憶えている読者も少なくないはず。要する
に同系列のハコってことである。で、僕自身は初めて訪れる場所のつもりでいたのだ が、実は 80 年代から 90 年代にかけて何度も足を運んだことのある会場だったことが 判明。単純に名前が変わっていたのだ。ニューヨークの会場がかつて『LIMELIGHT』という 名称だったのと同様に、ここも当時は『THE PALACE』という名で営業していた。どちらも当 時を代表する“ロックなコンサート会場”だったのである。 ちなみに天候は良好。会場前にはすでに長い行列ができているが、この天気なら誰もあまり辛 い思いをせずにいられることだろう。通りを挟んで会場の向かい側にあるのは、かの有名なキャ ピトル・レコード。昔はここで MEGADETH とか QUEENSRYCHE とかのプロモーションを受けた り、『THE PALACE』でいろんなメタル・バンドを観たりしたもんだよなあ、と、昔のメタル専 門誌編集者時代を懐かしみながら会場周辺を歩いていると、街角に KORN のポスターを発見。彼 らの最新作はタイトルからその内容も明白な『UNPLUGGED』。アメリカでは 3 月 6 日発売です、 と、先日スタジオをのぞかせてくれたお礼に、一応ここで宣伝しておくことにする。
文●増田勇一
2 月 24 日(土)02 時 24 分 日付が変わり、誕生日を迎えた Shinya、ケーキ入刀の図。ロサンゼルス某所にて。 終了したばかりの『THE WILTERN』でのライヴについては、例によって具体的なことは記さず におく。ただ、僕自身としては、このツアーの冒頭に観たフロリダ州での 2 公演以来、約 3 週間ぶ りに彼らのライヴに接することになったわけだが、さほど長くもないその時間経過のなかで、ラ イヴ・バンドとしての彼らがさらなる進化を遂げていることを実感せずにはいられなかった。こ こにもたびたび登場するブッキング・エージェントのマイケル・アーフィン氏は、終演後、「ラ イヴを観れば観るほど、このバンドの成功を確信する」と述べ、さらに次のように語っていた。 「このツアーをブッキングした当初は、土地によって温度差もあった。DIR EN GREY を招聘する ことに積極的な会場もあれば、その価値があるのかどうか半信半疑な連中もいた。が、ライヴ終 了後、各地の会場関係者やローカル・プロモーターが口を揃えていたのは“次回も是非うちでや らせてくれ!”ということ。“次は金を払って観たい”とまで言ってくれる関係者もたくさんいた。 同時に、今回ライヴを行なわなかった地域の関係者からは“次回のツアーでは是非、こちらにも 来て欲しい”といった声が殺到した。たとえば次回、30〜40 会場をヘッドライナーとしてまわる ことも可能だろうし、それが実際、こちらの状況が彼らに求めていることでもある。それを実現 させた日本のバンドは過去にいないはずだが、それこそが、彼らがこれから直面する現実という ことになるだろう」 この言葉が意味するのが、今夜の公演、そしてこのツアー自体の大成功であることは言うまで もない。蛇足ながら、現地に住む僕の友人(長年、基本的に洋楽オンリーの仕事をしていて、日
本のロックにあまり免疫のない人物)も、「日本にこんなにすごいロック・バンドがいるとは知 らなかったし、これまで認識が甘かった。このバンドは“邦楽”ではないし、こちらのバンドで も、ここまで熱心なファンの基盤が確立されていることは珍しいと思う」と語っていた。まった く利害関係のない人物の語ってくれるこうした感想は、躊躇なく信じていいものだろう。 と、いうわけで、日付はすでに『THE AVALON』での公演当日。こうした深夜までゆったりと 過ごせるのは、『THE AVALON』がハリウッドのど真ん中にあるため移動に時間がかからないか らだったりもするのだが。
文●増田勇一
■2 月 23 日(金)18 時 16 分 ようやく開場。屋外で長いこと待ちくたびれていたはずのファンたちは、わき目も ふらずにフロア最前線へと突進する。一方、バックステージも当然のごとく徐々に慌 しさを増していく。そんななか、急遽、開演前に Die と Toshiya がオープニング・アク トである BLEED THE DREAM のマーク(vo)とデイヴ(g)との対談というか合同 インタビューに応えることになった。アメリカでは『WARCON』に所属するレーベル メイト同士。このインタビューの模様はアメリカの某ウェブサイトで近々公開されることになる はずなので、インフォメーションはまた改めて。ちなみに取材中、マークはこんなことを語って いた。 「ツアー初日、楽屋で彼らの姿を初めて目にしたとき、“こいつらクールだ!”って思った。その 後、音を聴いてますます惹かれた。アメリカのバンド、特にエモとかスクリーモ、メタルの連中 って、音はクールでも見た目が最悪な場合が多いじゃないか。でも、彼らはスタイルを持った人 たちだと思う。しかも普段着でいてもクールなんだぜ。最高!」 このマーク、実はスタイリストとしての経験も持っているのだそう。で、お洒落に自信があり そうな空気を普段からプンプンまきちらしております。 逆に、2 番手に登場している FAIR TO MIDLAND は、まるでお洒落には興味のなさそうな人たち。 しかしものすごく独特の雰囲気を持った人たちで、彼らがやって来ると楽屋の空気も一変してし まう感じ。ところがこの日、なにやらモジモジしながらやって来たのでどうしたのかと思ったら、 なんと『THE MARROW OF A BONE』の CD にサインをもらいにやって来たのでありました。な んかカワイイところのある人たちです。というわけで、即席サイン会にご満悦の皆さんの笑顔を ご堪能ください。 なお、FAIR TO MIDLAND はこのツアー終了後、DIR EN GREY と同じく『THE FAMILY VALUES TOUR 2006』に出演していた FLYLEAF のオープニング・アクトとしてふたたび全米各地
をまわり、かの RAGE AGAINST THE MACHINE の復活をメインに据えた偏差値高めのロック・フ ェス、『コーチラ・フェスティヴァル』にも参加するのだそう。メジャー第 1 弾となるアルバム は 6 月発売予定。今から注目しておいて損のないバンドだ、とここに断言しておきます。
文●増田勇一
■2 月 23 日(金)14 時 42 分 ショウケース・ツアーのときにツアー・マネージャーを務めてくれた ダグが遊びにやって来た。 おやじギャグ連発が得意技の彼は、この日も楽屋を笑のウズに巻き込みつつ嵐のように去ってい った。スケジュールの都合でライヴは観られないそうなのだが、それでもわざわざ訪ねてきてく れるのが嬉しい。しかも某バンドのツアーにずっとついていてヴァンクーヴァーから帰ってきた ばかりだというし。
今日の昼食は会場に用意されたケータリング。薫は『METAL EDGE』誌の電話インタビューを 1 本受けた。その後、楽屋でくつろいでいると、オープニング・アクトである FAIR TO MIDLAND のベーシスト、ジョン(ツアー中に定着した呼び名は“万次郎”。由来については説明するまでも ない)が遊びにきた。普段はむしろ物静かな彼だが、ステージでは過激に豹変する。
文●増田勇一
■2 月 23 日(金) 11 時 39 分
時計の針が 11 時をまわった頃、ツアー・バスはホテルを出発。30 分ほどのドライヴを経て『THE WILTERN』に到着したが、バスの収容人員の大半は眠ったまま。車内で地元の情報誌 『L.A.WEEKLY』をチェックしてみたら、大きなスペースを割いて今夜のライヴが紹介されてい た。さらに有力紙の『L.A.TIMES』では丸々 1 ページを使って彼らのことが紹介されている。内容 についてはあとでチェックしてみることにしよう。 その頃、会場周辺はすでにファンの行列にぐるりと取り囲まれた状態にあった。先頭集団は寝 袋とテントの重装備で 2 日前から並んでいるのだという。昨日は間違いなくまとまった量の雨が 降っていたわけだが、そのことを指摘すると「そんなの気にならないぐらい DIR EN GREY が好 き!」という答が返ってきた。開場までまだ 6 時間以上あるわけだが、そこ頃までには、このへ ん一帯の歩道がすべて人で埋め尽くされてしまうことになるんじゃないだろうか。とりあえずは トラブルが起こらないことを祈るのみだ。
文 ●増田勇一
■2 月 23 日(金) 10 時 01 分 ツアー・バスのなか、電子レンジの加熱終了の音が響く。Die はこれから朝食。どうやらマイク ロウェーヴ調理の達人の域に達しつつあるようだ。メンバーのうち、大概の場合、いちばん 1 日 のスタートが早いのが彼。昨夜の帰還はそれなりに遅かったのだが、今日は L.A.公演の初日。会 場は 2200 人を収容する『THE WILTERN』。昨年 3 月のショウケース・ツアーのときにもここで の公演をソールドアウトにしている彼らだが、今回もすでにチケットは完売。しかし今ツアーに おける最大規模のライヴということもあり、メンバーたちの気持ちもすでに ON に切り替わってい
るのかもしれない。 ちなみに他のメンバーたちは、まだ 4 人ともベッドのなか。……と、思ったらシャワーから 戻ってきた男が 1 人いた。タオルをターバンのように巻きつけたこの男の正体はいったい……?
文●増田勇一
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