001 *~間に/*~間は 名詞 : の + 間(は/が) 動詞 :普通形 (一般動詞は「ている」形) 間に(は) 形容詞:<イ形:ーい・ーくない> 間の+名詞 <ナ形:ーな・ーでない> ♪ 会話 ♪ 李 :先生、長い間ご無沙汰し、誠に申し訳ありませんでした。これはつまらな いものですが、・・・。 恩師:ありがとう。せっかくだから遠慮なく。それにしても、しばらく見ない間 に、ずいぶんたくましくなったね。 李 :そうですか?日本の企業に勤めていると、何かと鍛えられますし、それに 子供も生まれましたから。 ♯ 解説 ♭ 「~間」は期間を表します。動作や状態の継続中を表すので、状態動詞(あ る・いる・できる・わかる・要る)を除けば、動詞と接続するときは「ている」 形、或いは「ない」形になります。 問題は「~間」と「~間に」の違いですが、図のように「~間(は/が)」は その期間ずっと継続する動作を、「~間に」はその期間内に完了した動作を表し ます。作文上の注意点としては、従属節の主語は常に「が」で表しますから、異 主語文の中では「Aが~ている間に、Bは~する」の形を取ります。→例題 1)2) 図あり § 例文 § 1.私は夏休みの間、都会の喧噪(けんそう)を離れ(ばなれ)、ずっとふるさと の実家で過(おやまち)ごした。 2.夏休みの間に、この原稿を書き上げたいと思っている。 3.「若い間の苦労は買ってでもせよ」とよく言われる。 4.私がしばらく留守にしている間に、泥棒が入った。 5.夫婦どちらも元気な間はなんとかなるが、どちらか一方が病気で倒れたりし たら、わが家はお手上げになる。 ★ 例題 ★ 1) 鎮痛剤が(効く/効いている)間(に/は)まだよかったが、薬が切れる (時/と)、とたんに虫歯が疼き出した。 2) 私が二年ほど日本( )留学(する→ )間( )、上海の町並 みはすっかり変わってしまった。 002 *~あげく(に)/~果て (に) 名詞:の + あげく(に) ~ した 動詞:た形 あげくの + 名詞
果てに 果ての + 名詞 ♪ 会話 ♪ 李 :彼は気の毒だったなあ。さんざん通ったあげくに、先方から電話一本で契 約を断られてね。まあ、僕の方もさんざんな目にあったよ。今日は本当について ない。 良子:一体全体、どうしたの? 李 :二時間も並んだあげく、結局、コンサートの切符が手に入らなかったんだ。 ♯ 解説 ♭ これらの文型は「~した結果~した」を表しますが、後件では常によくない結 果の発生を表すところに特徴があります。「~果てに」も同様の意味を表します が、口語で使われることは多くありません。なお、「あげくの果て」は「あげ く」の強調した表現となります。類義文型に「~末に」(→文型 116)がありま すが、この文型は後件でいい結果も悪い結果も表すことができます。注意すべき 点は、これら結果を表す文型は常に文末が完了形「~した」となることです。→ 例題 1) 悩み抜いた 結果 <客観的表現> あげく(に) <残念な気持ち> 末(に) <色々あったが> 帰国することに決めた。 § 例文 § 1.口論のあげく、殴り合いのけんかになった。 2.いろいろ考えたあげく、彼と別れることにした。 3.彼はサラ金からさんざん借金をしたあげく、ついに首が回らなくなって夜逃 げをした。 4.父は長い間、病に苦しみ抜いた果てに、亡くなった。 5.彼は会社のために身を粉にして働いて、あげくの果てにリストラされてしま った。 ★ 例題 ★ 1) 苦労した(あげくに/末に)、(ついに/結局)念願のマイホームを手に (入れる/入れた)。 2) 返答( )(窮する→ )あげく、つい嘘をつい(てしまう→ )。 (^^)前課の解答(^^) 1) 効いている(継続状態)/は/と(と&時→文型 203) 2) に/している/に 003 ~上げる/~上がる 他動詞:[ます]形 + 上げる 自動詞:[ます]形 + 上がる
♪ 会話 ♪ 佐藤:課長、 遅くなりましたが、上海に出張の報告書ができ上がりました。御覧 いただけますか。 課長:おう、書き上がったか。しかし、長いなあ。要約を一ページつけてから部 長へ上げよう。 李 :君も今度のことでは大いに株を上げたな。こんなに難しい交渉をまとめた とは、ほんと、たいしたものだよ。 ♯ 解説 ♭ 付属動詞「~上げる」は、「~を<他動詞>+上げる」「~が<自動詞>+上 がる」という形になります。意味上は上方への移動、程度の強調、完了・完成の 三つに分かれます。これは上への移動から上の極へ到達するにつれて、「完全に ~」の意味の程度強調へ、更に完成・完了へと意味が拡大したものです。 <上方へ移動> ~が飛び上がる・~が立ち上がる・~を見上げる・~を持ち上げる… <程度の強調> ~が晴れ上がる・~が震え上がる・~を鍛え上げる・~を磨き上げる… <完了・完成> ~ができあがる・~~が刷り上がる・~を書き上げる・~を育て上げる… § 例文 § 1.合格の知らせを聞いた娘は、飛び上がって喜んだ。 2.見上げると、晴れ上がった青空を鳥たちが飛び交っていた。 3.武道で鍛え上げた男の体は、まるで鋼のようだった。 4.何カ月もかかって作り上げた作品を前にして、わたしは喜びがこみ上げてき た。 5.「おい、例のもの、でき上がったかい?」「細工は流々、仕上げをごろうじ ろ」 ★ 例題 ★ 1) 変わり果てた友の姿を見て、(思わず/ふと)涙(が/を)こみ上げ(てき た/ていった)。 2) ご飯が(炊く→ )上がったよ。みんな、仕事を(切る→ ) 上げて食事( )しないか。 (^^)前課の解答(^^) 1) 末に(→文型 116)/ついに(期待したことの実現)/入れた 2) に/窮した/てしまった(不本意の「~てしまった」) 004 ~あっての 名詞: × + (が)あっての + 名詞 ♪ 会話 ♪ 部長:ありがとう。今回の受注は君たちのおかげだ。なんと言っても、仕事あっ ての会社だからな。 山田:いいえ、部長の御指導のたまものです。
部長:いやいや、そんなことはない。みんなの協力あっての成功だ。「チームワ ークこそ成功の鍵だ」と改めて教えられたよ。ありがとう、みんな。 ♯ 解説 ♭ 「~あってのN」は「~があって、はじめて可能な N」という意味を表しま す。前の条件がなければ、後ろの結果も成立しないという前提条件を表す点で、 「~て、はじめて/~て、こそ」(→文型 192)、「~ば、こそ」(→文型 050)と基本的には同じ意味になります。 みんなの協力 あっての 成功だ。 があってこその があればこその § 例文 § 1.この度の優勝は、みんなの団結あってのものだ。 2.私が仕事に専念できるのも、全て妻の内助があってのことです。 3.彼女が会社を辞めたのは、きっと何かわけがあってのことだろう。 4.そりゃあ、お金も欲しいけど、「命あっての物種」って言うじゃないか。 5.お客あっての商いだということを忘れてはいけない。 ★ 例題 ★ 1) ○○先生(あるからの/あっての)私です。(お/ご)恩は(いつも/いつ までも)忘れません。 2) 専務があなたをこのパーティ( )招待した( )は、きっと何か考えがあ って( )ことですよ。 (^^)前課の解答(^^) 1) 思わず(自然な感情)/が(自V)/てきた(→文型 181) 2) 炊き/切り/に(N+にする:「何にする?」「僕はこれにす る」) 005 *~あまり(に) 名詞 : の + あまり(に) 動詞・形容詞:普通形<ナ形ーな> ♪ 会話 ♪ 百恵:最近、山田君、ちょっと 変よ。何を聞いても上の空だし、仕事にも手がつ かない感じだ。 李 :僕も心配のあまり尋ねてみたら、彼女に振られたらしいんだ。毎晩どこか で酔いつぶれているらしいよ。 百恵:寂しさのあまり、お酒で気を紛らわしてるのね。あまり飲みすぎると、体 を壊しちゃうわよねえ。 ♯ 解説 ♭ この文型は「とても(程度が限度を越えている)~ので」を意味します。「の で」系の原因・理由の表現(→資料、)で、後件では発生した既定事実を表すの
で、「~つもりだ・~たい・~だろう」などの意志・希望・推量表現は使えませ ん。なお「あまりのNに」も「あまりに~ので」も同義表現です。 寂しさのあ まり、 あまりに寂しいので、 あまりの寂しさに、 お酒で気を紛らわしているのね。 § 例文 § 1.うれしさのあまり、涙がでた。 2.急ぐあまり、家の鍵をかけるのを忘れてきてしまった。 3.彼は人がいいあまり、嫌な仕事を押しつけられても断りきれない。 4.慎重になり過ぎるあまり、チャンスを逃すこともある。 5.「可愛さ余って(=可愛さのあまりに)憎さ百倍」という俗語がある。 ★ 例題 ★ 1) 一人の子供がいじめを告発する遺書を(残して/残って)自殺したという (ので/のに)、開き直る学校側の答弁に、私は怒り(あまりに/のあまり)体 が震えた。 2) 彼はまじめ( )あまり、(考える過ぎる→ )り、(思い詰める→ )りするんだろう。 (^^)前課の解答(^^) 1) あっての/ご/いつまでも(「いつも(×いつまでも)遅刻する」) 2) に(~を~に招待する)/の(「~のは~ことだ」文型)/の 006 ~あろうことか(あるまいこと か) 名詞 + は、あろうことか(あるまいことか) あろうことか(あるまいことか) 、 ~ ♪ 会話 ♪ 李 :もしもし、良子?あろうことか、出発間際になって、急にフライトがキャ ンセルになっちゃってね。 良子:だから言ったでしょ。少しぐらい高くても、いつもの航空会社の方が安全 だって。 李 :これから家に帰るよ。食事は済ませてあるから、夕食の支度はしなくても いいよ。 ♯ 解説 ♭ この文型は「そんなことがあっていいだろうか(いや、あってはいけない)」 という意味の反語表現です。事実は眼前に存在していますが、それを信じられな いし、信じたくない気持ちがあり、非難・残念の感情を強く含んでいます。 § 例文 § 1.あの学生は、あろうことか、教師に暴力を振るった。 2.一部の報道記事には、あろうことか、あるまいことか、事実を捏造したもの もある。
3.あろうことか、よりにもよってこの俺に、よくもそん見え透いた嘘が言えた ものだな。 4.日本の政治家の中には、あろうことか、先の戦争をアジア解放戦争だったと 言う者がいる。 5.あろうことか、教師がテレクラ通いをしていたとは。 ★ 例題 ★ 1) (ある/あろう/あるまい)ことか(ある/あろう/あるまい)ことか、不 正入試事件(が/を)発 覚した。 2) (ある→ )ことか、遊ぶ金(ほしい→ )に売春をして、「どこ が悪いの?」( )うそぶく少女がいる。 (注:これを「援助交 際」と現代語で言う) (^^)前課の解答(^^) 1) 残して(~を+他V)/のに(逆説)/のあまり(「怒り」はN) 2) な(ナ形)/考え過ぎた(「~たり~たりする」文型/思い詰めた 007 いかに~ても/いかなる~て も いかに ~ 動詞・形容詞:て形 <ナ形ーで> + も いかなる+名詞 名詞 : で (注:「~ても」の他に「~ても」系の逆説は使える。 → 解説) ♪ 会話 ♪ 良子:明日は模擬試験だったわね。焦ってるみたいだけど、まさか、今夜、徹夜 するつもりじゃないでしょうね。 小孫:「いかに困難でも、またいかなる状況下にあっても、全力を尽くせ」って 言うじゃないか。 良子:それは普段から勉強してない人が使う言葉じゃないわ。日本ではそんなの を「付け焼き刃」って言うのよ。 ♯ 解説 ♭ 「いかに」「いかなるN」は「(前件の)事情・状況・程度がどうであっても 関係なく、いつも・必ず(後件が)成立する」という条件表現で、書き言葉で多 く使われます。「どんなに/いくら(=いかに)~ても」「どんな(=いかなる N)~ても」(→文型 143)はその口語表現で、話し言葉ではこちら方が多く使 われるでしょう。 また、「ても」のほかに「~と言えども」(→文型 216)、「~であろうと/ ~であれ」(→文型 176)、「~(よ)うが/~(よ)うと」(→文型 437)な どの「ても」系逆説が使われます。 § 例文 § 1.いかに難しい問題でも、解けない問題はない。 2.いかなる時でも笑顔を忘れないでいれば、道は開けるよ。 3.いかなる人と言えども、欠点はあるものだ。 4.いかに人からあざ笑われようが、今はただ、信じた道を進むだけだ。
5.彼は勇敢な男だ。いかなる危険が待ちかまえていようとも、たじろいだりは しない。 ★ 例題 ★ 1) (いかに/いかなる)障害にぶつかっ(たら/ても)、試練と(思えば/思 って)、乗り越えていけるものだ。 2) 一人一人の力がいかに(小さい→ )ても、力を(合わせる→ )ば、 いかなる強敵でも(倒す→ )はずだ。 (^^)前課の解答(^^) 1) あろう/あるまい/が(自V) 2) あろう/ほしさ(イ形のNの形:美しい→美しさ)/と(引用 008 ~如何だ/~如何で/~如何によら ず 名詞: × + (の)如何だ ① (の)如何で (の)如何によって 名詞: × + (の)如何にかかわらず ② (の)如何によらず ♪ 会話 ♪ 小孫:模擬試験の結果の如何によらず、志望校を受験したいんですが、間に合う でしょうか。 先生:君のこれからの努力如何で決まる思うよ。まだ、2ヵ月以上もあるからね。 小孫:ということは、可能性があるということですね。最善を尽くしてみます。 ♯ 解説 ♭ 「如何」は「どうであるか」を意味する漢語で、根拠を示す助詞の「~で/~ によって」と結びつくと「~ かどうかによって決まる」という意味を表し、 「~に関係なく」を意味する「~にかかわらず」(→文型 293)、「~によらず (→文型 349)」や「~を問わず」(→文型 472)」と結びつくと「 ~がどうか に関係なく~」という意味を表すようになります。 この「如何」は例文中のもののほかにも慣用句がいくつかありますから、一緒 に 覚 えた方がいいでしょう。 如何せん:如何せん、もはや救う手段がない。 如何ともしがたい:こうなっては如何ともしがたい。 如何にかかっている:成功するかどうかは、努力如何にかっている。 § 例文 § 1.その会社に就職するかどうかは、給料如何ですねえ。 2.酒というのは飲み方如何で、毒にもなり薬にもなる。 3.今後の君の態度如何では、懲戒解雇もあり得ることを忘れるな。 4.理由の如何を問わず(⇔如何によらず/如何にかかわらず)、暴力はよくな
い 5.今更そんなことを言われても、もう、手遅れだ。如何ともしがたいよ。 ★ 例題 ★ 1) 勝敗(が/の)如何(によって/にかかわらず)、両チームの健闘は讃えら れる(はず/べき)だろう。 2) 業績如何( )降職も(ある→ )得る人事制度が企業に(導入される → )始めた。 (^^)前課の解答(^^) 1) いかなる/ても(逆説・仮定)/思えば 2) 小さく/合わせれ/倒せる(可能形) 009 *~以上(は) 名詞 :である + 以上(は) 動詞・形容詞:普通形<ナ形ーな> ♪ 会話 ♪ 李 :日本人は「イエス」と「ノー」がはっきりしなくて困るよ。来る前に想像 していた以上だ。 良子:以心伝心、察しの文化と言われる由縁ね。でも、「郷に入れば郷に従え」 よ。 李 :なるほど、日本語を勉強する以上は、日本の文化も学ばなくちゃね。 ♯ 解説 ♭ 「~以上(は)」は「~だから、当然・必ず ~」という意味を表す原因・理 由表現で、文末には「~なければならない/~べきだ」(→文型 382)や「~つ もりだ」、「~たい」などの義務や意志・希望、「~はずだ」(→文型 367)、 「~にちがいない」(→文型 305)などの断定判断が多く使われます。この場合 は「~からには(→文型 056」や)「~上は(→文型 015)」と同義表現となり ます。 しかし、「~以上」は因果関係がなくても、既定条件の場合に広く使えます。 例えば、下の例文は条件(仮定)を表していますが、この場合、「~からには/ ~上は」は使えません。 *あなたの同意がない以上(=なければ)、無断で掲載することはない。 § 例文 § 1.お話はわかりました。この件については、私どもが引き受けた以上、大船に 乗ったつもりでいてください。 2.こうなった以上は、もう他に方法はない。 3.一旦契約書にサインをした以上、君の責任は避けられない。 4.彼がやらせてほしいと言う以上、見込みがあってのことだろう。やらせてみ たらどうか。責任は私が負う。 5.私に刃向かう以上、それなりの覚悟はあるんだろうね。 ★ 例題 ★
1) 父親(の/である)以上、娘がつきあっている相手(を/に)無関心では (いられる/いられない)よ。 2) 闘う以上、(負ける→ )たくないと思う( )は人情だ。負ける ( )わかっているなら、最初( )( )闘わないことだ。これを「逃げるが 勝ち」という。 (^^)前課の解答(^^) 1) の/にかかわらず/べき(→文型 382) 2) で/あり(~得る:→文型 017)/導入され(V〔ます〕形+始める) 010 *~一方だ/*~ばかり だ 名詞 : の + 一方だ 動詞 : 原形 ばかりだ (*名詞接続不可) ナ形容詞:~になる イ形容詞:~くなる (注:「まじめ一方」 のような慣用的言い方もある) ♪ 会話 ♪ 李 :産業活動の発展は目 覚 ましいけど、その反面で、公害は年々ひどくなるば かりだね。 良子:ほんとうね。海も川も汚れていく一方だし、森林破壊、酸性雨、砂漠化、 地球温暖化と問題は山積みだわ。 李 :早く手を打たないと地球に生き物が住めなくなってしまうね。でも環境か 開発か、難しい問題だなあ。 ♯ 解説 ♭ 「~一方だ/~ばかりだ」は変化を表す語につき、変化が一つの方向に進行し ていること表します。 ただし、「~一方だ」はいいことにも、良くないことにも広範に使えますが、 「~ばかりだ」は「程度が~過ぎる」という語感をもっていて、例文3のように いい傾向に使うと不自然になります。また、「~ばかりだ」は例文1のように名 詞に接続する形がありません。 § 例文 § 1.今年に入り、株価は下落の一方(×ばかり)だ。 2.給料は下がる一方(⇔ばかり)、物価は上がる一方(⇔ばかり)、これじゃ やっていけないよ。 3.彼はまじめ一方(×ばかり)の人で、よく言えば仕事一筋の人ですが、融通 の利かないところが難点ですね。 4.老後のことを考えると、不安は募るばかり(⇔一方)だ。 5.ストレスが原因とみられる心の病気は、ますます深刻化するばかり(⇔一 方)だ。 ★ 例題 ★
1) 景気は落ち込む(だけ/ばかり)、雇用不安は増す(だけ/ばかり)で、明 るい材料が(見あたる→ )。 2) 地球人口は年々増える一方( )、21 世紀の前半には百億を(越す→ )そ う( )勢いだ。 (^^)前課の解答(^^) 1) である/に/いられない(→文型 191) 2) 負け/の(→文型 354)/と(内容を引用:~とわかる」/から 012 いわんや~においてをや/~まして~にはなおさ らだ いわんや ~ 名詞 : × + においてをや まして に(おいて)はなおさらだ ♪ 会話 ♪ 李 :このパソコンの使い方がどうしてもよくわからないなあ。え~っと、マニ ュアル、どこにあったっけ? 良子:説明書を読むのもいいけど、山田さんに聞いてみたら?その方が手っ取り 早いわよ。 李 :彼がひどい機械音痴だってこと知らないの?僕でさえ四苦八苦なのに、い わんや山田においてをやだよ。 ♯ 解説 ♭ 「況(いわん)や」「況(まし)て」と助詞「~において」(→文型 291)が 結合した文型で、「Aは~ 、だからBは言うまでもなく、(もっと・更に) ~」を意味する文語です。話し言葉としては「まして ~ には、なおさらだ」が 多く使われるでしょう。 専門家にさえ直せない。 →いわんや素人においてをや。 →まして素人にはなおさらだ。 § 例文 § 1.この高校入試問題は大学生の僕にさえ難しいのに、まして中学生にはなおさ らです。 2.僕が子供の頃、日本の家庭にはテレビもなかった。ましてパソコンにおいて はなおさらだ。 3.彼は英語すら読めない。況やフランス語においてをや。 4.源氏物語を原書で読める日本人はそう多くない。いわんや外国人においてを やだよ。 5.約束は守るもの。いわんや首相の公約においてをやだ。 ★ 例題 ★ 1) (これ/この)ほどの山と(する/なる)と、登るのは若者でも容易ではな い。(だから/まして)老人においてをや。 2) 当時の私は食べ物に( )( )事欠く始末(だ→ )。( )( ) ( )本を買う金などあろうはずがなかった。
(^^)前課の解答(^^) 1) が(「~のに」は因果の逆説)/一方(反面も可)/続けて(他V) 2) が/豊かに(ナ形+なる)/貧しく(イ形+なる) 016 *~うちに/*~ないうち に 名詞 : の + うちに 動詞 : 普通形 (一般動詞は「ている」) うち(が/は) 形容詞:<イ形:ーい・ーくない> <ナ形:ーな・ーでない> ♪ 会話 ♪ 真理:さあさあ遠慮しないで、冷めないうちに召し上がれ。でも、お口に合うか しら? 佐藤:真理さんの手料理なら、冷めてもおいしいですよ。 真理: まあ、佐藤さんったらお上手ね!どんどんお代わりしてね。 佐藤:うまい!お袋の味を思い出しましたよ。 ♯ 解説 ♭ 「~うちに」は「~の状態の間に ~する」という意味を表す表現で、「~間 (あいだ)に」(→文型 002)とほぼ同義表現ですが、状態変化に関心をおいた のが「~うちに」で、時間を問題にしたのが「~間に」です。 どちらも動作・状態が継続中に発生したことを表すので、状態動詞(ある・い る・できる・わかる・要る)を除いて、「~ている」形か「~ない」形に接続し ます。また、時間だけを問題にするのであれば、「~ないうちに」は「~する前 に」に置き換えることができます。 あなたが寝ている(×寝る)うちに、地震があったんですよ。 子供が帰らないうちに(≒ 子供が帰る前に)、掃除する。 なお、「~うちに」<事態完了>と「~うちは」<事態継続>の関係は「~間 に」と「~間は」と同じです。→例題 1)2) § 例文 § 1.鉄は熱いうちに打て。 2.あの先生の授業は退屈で、聞いているうちに、いつも眠くなる。 3.生きてるうちが花なのさ。死んで花実が咲くものか。 4.あ、もう五時ですね。暗くならないうちに帰りましょう。 5.そうそう、忘れないうちに話しておこう。実は・・・ ★ 例題 ★ 1) うとうと(する/している)うち(に/は)、(つい/うっかり)畳にタバ コの火を落として焦がしてしまった。 2) この件につきましては、この場での即答は(いたす→ )兼ねます ので、一旦会社に持ち帰り、上司と相談の上、一両日( )うち( )御連絡申 し上げたいと思います。
(^^)前課の解答(^^) 1) 選ばれた(受身形)/上は/べく(→文型 382/→文型 385) 2) あろう(未然形+と:→文型 437)/決まった/は 018 *~おかげで/*~おかげか/*~おかげ だ 名詞 : の + おかげで 動詞・形容詞:普通形<ナ形ーな> おかげだ おかげか ♪ 会話 ♪ 母親:おかげさまで、息子も志望校に無事合格できました。本当に夢のようです。 先生:本人の努力のたまものですよ。本当によくがんばったと思います。 母親:いえいえ、先生のお力添えがなければ、とても・・・。全て先生のおかげ です。 ♯ 解説 ♭ 「~おかげで」は「~(の)援助・恩恵があって~」という意味を表す原因・ 理由の表現で、いい結果が生じたときに使われます。悪い結果が生じたとき使う のが「~せいで」(→文型 122)、どちらの場合にも使えるのが「~ために」で す。ただし、「~おかげで」は、例4のように皮肉・非難の気持ちを込めて使う ことも希にあります。どれも「ので」系(→ 資料編、)なので、後件では発生し た事実や確定事実を表し、「~つもりだ/~たい/~だろう」などの意志・希 望・推量表現は使えません。 理由が不確かなとき、断定を避けて「~おかげか」の形が使われます。なお、 「おかげさまで」という語は文頭でしか使えず、接続助詞の用法や文末で「~お かげさまです」とは使えません。 先生のおかげで(×おかげさまで)、無事合格できました。 合格できたのは、先生のおかげです(×おかげさまです)。 § 例文 § 1.君が手伝ってくれたおかげで、仕事が早く片づいた。 2.私が今日あるのは、田中さんがあのとき助けてくださったおかげです。御恩 は一生忘れません。 3.お前が一人前になれたのは、一体、誰のおかげだと思っているんだ。 4.あなたのおかげで、平気で嘘がつける女になれたわ。 5.先生の丁寧な教え方のおかげか、このクラスには落ちこぼれの学生は一人も いません。 ★ 例題 ★ 1) 一人っ子の(おかげか/せいか)、わがまま(が/に)育っ(てしまいまし た/ていました)。 2) おかげさま( )主人は軽い骨折で済んだのですが、あの事故( )亡くな られた皆様のことを思う( )・・・。
(^^)前課の解答(^^) 1) 得る/てみた(→文型 197)/絶たれた(基運「受身」:→ P) 2) に/納得し/得ない 019 *御~する/*御~にな る 御(お/ご)+ 動詞:[ます]形 + する/いたす ・ になる/なさる 御(お/ご)+ 動詞:[ます]形 + ください ・ 願えませんか なさい ♪ 会話 ♪ 李 :部長、田中様がお見えになりました。こちらにお通しいたしましょうか。 部長:うん、そうしてくれたまえ。 田中:突然お伺いいたしまして、御迷惑ではなかったでししょうか? 部長:いえいえ、そんなことはございません。さあ、どうぞ。 ♯ 解説 ♭ 「(お/ご)~する/いたす」を謙譲形、「御(お/ご)~になる/なさる」 を尊敬形とも呼びます。敬語は場面や相手によって複雑に変化しますので、一言 で説明することは困難ですが、私は下げる(=謙譲語)、相手は上げる(=尊敬 語)と 覚 えておくといいでしょう。 「御」は「お」とも「ご」とも読みなす。 「お約束する・お料理する」や 「ご案じになる・ご案じいたす」などの例外がありますが、一般に和語動詞には 「お」、漢語動詞(「~する」動詞)には「ご」がつくと考えればいいでしょう。 § 例文 § 1.あのう、ちょっとお尋ねしますが、この近くに郵便局はないでしょうか。 2.申し訳ございませんが、もう少々、お待ち願えませんか。 3.私がご案内いたします。さあ、こちらへどうぞ。 4.では、ご主人がお帰りになられましたら、私の方にお電話くださるようお伝 えいただけませんか。 5.当ホテルをご利用のお客様には、特別ディナー招待券を差し上げております。 どうぞご利用ください。 ★ 例題 ★ 1) お買い上げ(する/になる)かどうかはともかく、一度お(召し/召し上が り)(して/になって)みてください。 2) どうぞ、お(入る→ )ください。( )(待つ → )し ておりました。 (^^)前課の解答(^^) 1) せいか(悪い結果)/に(変化の結果)/てしまいました(不本意) 2) で/で(理由)/と(「お気の毒です」が省略・感情発生→文型 203)
435 *~よう/*~ようがない/~すべがな い 動詞:[ます]形 + よう ・ かた 動詞:[ます]形 + ようがない/ようのない ・ 動詞: 原形 + すべがない ♪ 会話 ♪ 山田:彼はもう少し他人の意見を聞くべきだ。あれでは、アドバイスのしようが ないよ。 李 :自分の能力に自信を持つのはいいけど、少しうぬぼれが過ぎてるね。どう も鼻持ちならない。 佐藤:こんなことを言ったら言い過ぎかもしてないけれど、彼の心の持ちように も問題がありそうだね。 ♯ 解説 ♭ 接尾語「~よう」は「苦しむ・悲しむ・嘆く・怒る・驚く・喜ぶ・変わる・~ がる…」などの感情や状態を表す自動詞の[ます]形について、様子や状態を表 します。また、「する・言う・例える・話す・直す…」など動作性の他動詞の [ます]形について、方法を表します。 問題になるのは同じ方法・手段を表す「~方」との違いですが、動作そのもの は「~方」がよく、困難さや程度など内容に近づくほど「~よう」がよくなると 言えます。どちらも使える「言いようが悪い」と「言いかたが悪い」を比べても、 話の内容を問題にしたのが「言いよう」で、話す態度・言葉遣いを問題にしたの が「言い方」です。 料理の作り方(?作りよう)を教えて。 喩えよう(×喩え方)のない美しさ。 「すべ」は方法を表す名詞で、「~ようがない/~すべがない」はどちらも 「~する方法がない」と言う意味を表します。→例題 1) § 例文 § 1.その両親は事故で娘を失い、ひどい悲しみようでした。 2.彼がそのことを知ったときの驚きようは、尋常ではなかったですよ。 3.よくも解釈できるし、悪くも解釈できる。何事も、ものは取りようだよ。 4.知らないんですから、答えようがないじゃありませんか。 5.彼はただ今出掛けていて、連絡を取るすべがないんです。 ★ 例題 ★ 1) 弾薬も尽き食料も尽き(ては/ても)、もはや(戦う/戦おう)にも(戦う /戦い)(よう/方)がない。 2) この(痛い→ )(がる→ )ようは普通じゃない。すぐ医者 ( )連れて行った方がいい。 2) 444 ~(よ)うに/~まいに/~たろう に
動詞 :未然形<~(よ)う/~まい> + に た形<ー[た]→たろう> イ形容詞:<ー[い]→かろう> ナ形容詞:<ー[な]→だろう/であろう> (注;動詞の「ない形」はイ形容詞と同じく「~なかろう」になる) ♪ 会話 ♪ 李 :「ありがた迷惑」だって?いくら夫婦の間でも、そんな言い方はなかろう に。 良子:衣類は小平用、あなた用、私用と分けて整理してるのよ。何もかも詰め込 めばいいってもんじゃないわ。 李 :一人でさぞ忙しかろうと思って手伝ったけど、かえって、君の仕事を増や したみたいだね。 ♯ 解説 ♭ 動詞や形容詞の未然形に、「~のに」に相当する接続助詞「に」が結びついた 形で、多くは「~たろうに/~ていように/~だったろうに/~かったろうに」 などの形で実現しなかった事態を取り上げ、「もし~だったらよかったのに、現 実はそれに反して~」という気持ちを表します。残念・失望・後悔・不満の感情 が強く現れる表現です。現代口語では「~だろうに/~でしょうに」の方が多い でしょう。 お父さんが生きていたら、お喜びになったろうに(・なっただろうに)。 そんな話はこんな場所でしなくてもよかろうに(・いいだろうに)。 今更悔やんでも仕方あるまいに(・ないだろうに)。 § 例文 § 1.もう少し時間があれば、この試合に勝てたろうに。 2.君一人が悪かったわけでもあるまいに、そんなに思い詰めることはないよ。 3.両親を事故で失って、さぞ辛かろうに、その少女はけなげに喪主を務めてい た。 4.何もそこまで言うことはなかろうに、彼、すっかりしょげ込んだじゃないか。 5.よりにもよってどうして私が?他にも適任者はいたろうに。 ★ 例題 ★ 1) 彼は今さっき(帰る/帰った)ところだよ。もう少し(早いと/早ければ) (会えよう/会えたろう)に。 2) ことも(ある→ )に、何( )こんな雨の日に避難訓練をしなくて も(いい→ )に。 (^^)前課の解答(^^)