トムさん、1 プロセスとしてのグローバル化は現在、反発(押し戻し)の時代を迎えているのでしょうか?
そうは思いません。香港での閣僚会議やIMF、WTOといった注目をあびている国際会議でおこっているこ とと、それほど目立たないが世界で実際に起きていることを混同してはならないと思います( mistake A with B)。マイクロソフト社の最高技術責任者のひとりであるレイ・オジーが自社にて文書をだしたという ニュースが先週ありました、これはこのまま対応しなければマイクロソフトに根本的な影響を与える大きな 変化が起こりつつあるというという内容のものでした。それはどんなことなのでしょうか。ネット上で中小企 業へソフトウェア(アプリケーション)を提供するビジネスウェブと呼ばれるものが出現しています。小規 模な企業また個人事業者にとっては本質的な(力)ソリューションを提供しますが、従来のソフトウェア会 社には大打撃をひきおこす可能性があるというものです。これが香港でおこっている日々の抗議デモより重 要でないと思われますか?そうではないと思います。実際にテクノロジーが与えている能力の内容を見てみ ますと、そのグローバル化が急速に進んでいるのがわかります。(グローバル化の与える影響には、影があれ ば光もある)問題もありますが、一方その利点もあります。しかし、香港で起こっている事態と、グローバル化 を実際に促進している基盤の下で起きていることを混同(間違えたり)したりしません。
では、モイシスさん、香港での事態は別に世界がグローバル化について考え直して(再考慮)しているという 表れ(ことをあらわしているわけではないの)ですね?
はい。実際、グローバル化と貿易と切り離して考えることはとても重要だと思います。貿易はグローバル化の 要素の1つですが、9月11日の同時多発テロも、すでに申し上げたように、ある意味グローバル化だったの です。文化的、また社会的なグローバル化も存在するのです。世界は貿易によってのみ連携しているのではな く、思考や情報、犯罪、テロによってもつながっているのです。そして実際に、貿易協定を推し進める方法を整 えているなか(模索するなか)行き詰まり状態(を見せている)になっている香港での事態もまた、サイン のひとつなのです。この行き詰まりもグローバル化を意味しているのです。なぜなら、以前は小数の国が集ま り、決議を行っていました。これが現在では、加盟国は149ヶ国にのぼり、それだけでなく、貿易協定の決断 を阻止したり、結果に影響をもたらす機会のある持つ多くの非政府組織や活動団体、宗教的奉仕団体(faithbased)が呼びかけています(訴える、活動しています)行動に移っています。これもまた、グローバル化の一 部なのです。
トムさんのおっしゃる「フラット化する世界」も、(あなたの本の中で言う)犯罪者や制度を悪用する者が、よ りビジネスを行いやすい(う上で有利な)場所となったのでしょうか?
全くそのとおりです。トムさんは著書で物理的な距離という本質的な障害を縮めてきた( 彼らは途上国にい るハンデを乗り越え、一気に世界第一線で仕事をし、起業し、富を手に入れることができるようになった。)技 術の力について述べています。こういった技術の(影響)力により、(アウトソーシング先の)委託先のイン ドではコールセンターから世界中にサービスを輸出(発信、提供)することが可能です。この同じ力、(IT 技 術の変化と政治の変化)同じ技術の力と、また付け加えて90年代から最近までにおこった政治的変革(ベ ルリンの壁やソ連の崩壊のこと)によって、大昔から常にわれわれの世界に存在した不法に貿易を行う者や
密輸業者に世界へ活動領域を拡大させ(進出を可能にさせ)、富を蓄え(裕福になり)、政治的に大きな影響 力持つようにさせてしまったのです。私の本では違法貿易業者たちの問題が常にあったことを主に主張して います。しかし、今は変わったのです。グローバル化が世界を変え、それによって私たちも変化しているのです (私たちもその変化を共にあるのです。)
トムさん、モイセスさんは彼の著書でグローバル化は敵(邪魔者)である [主に内政を管理するだけの]政府 の影響力を弱めることによって違法貿易者に有益な効果をもたらしていると述べていますが、実際にそのよ うな状況が起こっていると思いますか?
そうですね、この基盤、私がフラット化する世界の仕組みと呼んでいるものがしているのはまさに個人に力を 与えるということなのです。グローバル化は国レベルから、企業(産業)レベルのグローバル化へ移行し、そ して今や急速に個人に力を与える個人レベルのグローバル化へと変化しました。それら個人レベルで力を受 けている(グローバル化の恩恵を受けている)人々の例をモイセスさんは巧みに著書で描写しています、そ れは、麻薬密輸業者、人身売買業者、密輸業者に及びます。そして、香港で抗議を行っている NGO の団体もその 一例です。今では組織の Website を持ち、彼らはつながっているのです。ほかでは、フランスの後援団など、レ イさん、あなた方が報道しているのはショートメッセージサービスや携帯電話でつながっている人々達なの です。私に言わせると、この基盤こそがすべての要因なのです。そしてこの基盤によって、かつてないほど人々 によい行いも悪しき行いをもこれまで以上に行う能力を与えているのです。レイさん、そういった理由で、わ れわれは今何よりも想像力が重要である現在のこの時代に生きているんです(何よりも想像力がキーとなる 時代を生きているのです)。この基盤を利用して、何ができるかと考える個人の想像力が最も重要なのです。
一連のテクノロジー、政治的な出来事が合わさった結果、グローバルな経済的なプラットフォームが創出され たということです。それはこれまでになかった世界のさまざまな場所から、様々な人々が、様々な方法でそこ に登場して競争し、むすびつき、協力することを可能にするようになったのです。