SMASSE INSET MALAWI システム構築 システム構築のためのパイロット・プログラム 構築のためのパイロット・プログラム プログレス・レポート II 要旨 1.
2002 年8月以降の 月以降の活動とその 活動とその成果及 とその成果及び 成果及び課題
表1は 2002 年 8 月以降の SMASSE INSET Malawi システム構築のための活動、成果及び課題 をまとめたものである。 年月 1
2002 年 8 月~11 月
2
2002 年 10 月
3
2002 年 11 月~12 月
4
2002 年 12 月
5
2003 年 1 月~
6
2003 年 3 月
7
2003 年 4 月
活動
成果
課題 シニアレベルの参加で 第三国研修・ 教育省・州教育事務所から 2 は教育省への裨益、イン 技術交換 名 INSET 運営に研修参加 パクトが十分でない。 関係者へのプロジェクトの INSET 運営資金の確保 目的とする「中等理数科現 がマ国側に可能か、教育 職教員を対象とする持続可 第 1 回関係者会議 省のコミットメントが 能な INSET の制度化」につ どの程度期待できるの いて啓蒙(オーナー・シップ かが不明。 喚起) 分野は特定できたもの の、教授法の改善に必要 各理数科目の弱点分野を特 ニーズ・ な INSET プログラムの 定するとともに、理数科教 アセスメント調査 カリキュラム及び教材 育の問題点の明確化。 開発に必要なデータは 不十分。 プロジェクトの背景、目的、 教育省、地方事務所、教 役割分担を定めた TOR に 員 養 成 大 学 、 そ し て 第 2 回関係者会議 ついて関係者間で初めて協 JICA の役割について合 議を持った。 意に達せられなかった。 2002 年 12 月に就任した新 PS を中心とした教育省内 新 PS・教育省への でのロビー活動。前述 TOR ロビー活動 に つ い て の 改 訂 作 業 が 進 改訂版 TOR を作成した 行。 ものの、教育省内で関係 教育省 EMAS 局副局長、ド 局長を集めた会議が未 WSSD マシ教員養成大学副学長が だ開催されていない。 フォローアップ 出席。副局長が帰国後、積 会議 極的に教育省内の調整作業 を実施。 INSET National Trainers’ Training 下述 ケニア SMASSE との 合同ワークショップ
表1:SMASSE INSET Malawi に向けた取り組み
2.INSET National Trainers’ Trainers’ Training(ケニア Training(ケニア SMASSE との合同 との合同ワークショップ 合同ワークショップ) ワークショップ) 成果と の成果 と課題 <成果> ① マラウイ側に本プログラムは、単発のプロジェクトではなく、INSET を制度化・内部化して いくための活動であるというコンセンサスが関係者間で確実なものになってきた。 ② 教育本省側で解決すべき政策的支援について、新 PS のリーダーシップの下、体制が整いつつ ある(Steering Committee と Technical Committee の人選案ができた)。
SMASSE INSET MALAWI システム構築 システム構築のためのパイロット・プログラム 構築のためのパイロット・プログラム プログレス・レポート II 要旨
③ パイロット地区として想定している South East Division 及びドマシ教員養成大学では本プロ グラムの活動支援のための来年度予算を確保するため、すでに予算に計上している。 ④ 本プログラムを実施するにあたり実施機関であるドマシのスタッフだけでなく、周辺のセカン ダリーの教員達がサポートスタッフとして参加する方向性ができた。 ⑤ CIDA の SSTEP プロジェクトから各地域の教科スーパーバイザーもワークショップに参加し、 彼らも SMASSE の有効性と重要性について共通理解ができた。 ⑥ 5と関連し、CIDA・SSTEP 関係者と、SSTEP は未資格教員の知識のアップグレード (Knowledge-based) 、SMASSE はその知識をどのように生徒に伝えるかという教授法のアッ プグレード(Teaching Methodology-based)という補完関係にあるというコンセンサスがとれ、 今後の活動を共同してやっていくことで大枠合意できたこと(双方それぞれの Technical Committee に双方の代表者が出て調整を行う)。 ⑦ ドマシの組織強化のために、 「Faculty of Distance and Continuing Education(遠隔及び生涯 教育学部)」の新設を政府に提案していること。(学部の下には、Distance Education 学科 (SSTEP)と INSET(SMASSE)学科を並列し、人員と予算の確保を確実なものにしたいと 考えている。) <課題> ① ドマシの組織改革がいつの時点でなされるかまだ不明。 ② ドマシの人員不足は、国全体の人員不足に起因しており、組織改革によって単純に解決される ものではなく恒常的なものと考えられる。 ③ 州教育事務所及び大学活動支援のための予算計上を行っても、それが本当に Disburse される のか不明(毎年、予定額の 20%は実際に現場に落ちてこない)。 ④ 教育省内での調整が、関係局長レベルの調整ではなく、結局、トップのリーダーシップによっ てなされそうなので、トップ人事の影響を受けやすい。
3.今後の 今後の我が国によるマ国教育 によるマ国教育セクターの 国教育セクターの支援方向性 セクターの支援方向性 技術協力の 1) 技術協力 の範囲 我が国はこれまで SMASSE INSET Malawi システム構築のための支援を、主に教育省計画 局に配属されている個別派遣専門家(教育行政アドバイザー)による現地業務費によって小さ いながらもフレキシブルな活動新を実施してきた。そしてこれまでの実績を踏まえ、今後、本 分野における技術協力の方向性として 2 つのアプローチが考えられる。 ①
これまでどおり専門家の現地業務費による支援
②
「技術協力プロジェクト」として成果目標をより明確化し、その達成に向けて広範な 技術協力へと発展させる。
以下の表2は、それぞれのアプローチのメリットとデメリットを比較したものである。
SMASSE INSET MALAWI システム構築 システム構築のためのパイロット・プログラム 構築のためのパイロット・プログラム プログレス・レポート II 要旨 Merit Demerit/Killer Assumption ① ドマシにおける技術的支援が強化さ ① 活動運営費負担能力に疑問が残る。 れる。 (予算編成に IMF からの影響が大 ② INSET プログラム活動に必要な資機 きすぎる) 材が強化される。 ② INSET プログラム参加者の動機付 技協化 ③ 開発調査による教育行政のキャパシ けについてマ国側の政策方針が未確 ティ強化との連携が包括的に可能に 定。(Upgrade or Improve?) なる。 ③ 教育省側の人事に影響される。 (強力 ④ 中等理数科教育強化の域内協力が促 なリーダーシップが必要) 進される。 (連携案件第一号) ① 失敗の可能性がない。 ① 支援内容、協力範囲が限定される。 ② 監督機関(教育省)と実施機関(ドマ ② 第三国研修や技術協力が単発的なも 現地 シ)の自助努力とキャパシティを見極 のに終わり、包括的かつ効果的な協 業務費 めた上での協力が可能になる。(待つ 力につながらない可能性が高い。 ことも協力のひとつ) 表 2: 「技術協力プロジェクト化」と「専門家現地業務費の枠内での支援継続」との比較
2) マ国教育セクターにおける 国教育セクターにおける他開発 セクターにおける他開発パートナーによる 他開発パートナーによる支援傾向 パートナーによる支援傾向 現 在 、 マ 国 教育 セ ク ター 開 発 上 位 政策 と し て 2000 年 9 月 に 制定 さ れた 「 Policy Investment Framework (PIF)のもと、わが国の他 DFID, USAID, GTZ, WB, UNICEF, AfDB, UNFPA 等が支援を実施している。下図1は、マ国教育セクター支援状況を示した ものである。それによると、DFID, USAID を中心とした支援のほとんどは初等教育サブ・ セクターに集中していることがわかる。一方、中等教育、中等教員養成教育、職業訓練教 育等のサブ・セクターへの支援が比較的小さい。このサブ・セクター間での支援投入のア ンバランスは予算配分にも現れている。2002/03 年度のリカレント・コスト配分によると、 初等教育へは全体の 76%、中等教育と教員養成教育にはそれぞれ 13%、7%しか振り分け られていない。1994 年に施行された初等教育の無償化政策によって引き起こされた就学率 の爆発的拡大とそれによる施設、教員不足にこれまで支援が集中してきたことは止むを得 ないとしても、このようなサブ・セクター間における投入のアンバランスが別の問題を招 き始めていることも否定できない。
SMASSE INSET MALAWI システム構築 システム構築のためのパイ 構築のためのパイロット・プログラム のためのパイロット・プログラム プログレス・レポート II 要約
他ドナーの支援状況
わが国の支援状況
全ての開発パートナー: 教育政策立案・実施促進アドバイス、
教育行政(教育省・地方教育事務所)
キャパシティ・ビルディング
開発調査:NIPDEP
UNICEF:
個別専門家:教育行政アドバイザー
HIV/AIDS Club, Girls’ Education, フォーマル教育
社会教育(ノン・フォーマ教
高等教育
育、HIV/AIDS 教育、市民教 教員養成 無償資金協力:
教育
Education for out-of-school children NGO: - CRECCOM - Save the Children (UK,US) - Africare 等
ドマシ教員養成大学改善計画 GTZ: MIITEP
SV:理科教授法アドバイザー
職業訓練教育
協力隊:
WB: SEP 1) 初等:DFID, USAID, GTZ
理数科教師(約 10 名)
中等教育
専門家現地業務費:
初等教育
セント・ジョーンズ小学校施設改善計画
2) 中等:CIDA(SSTEP) WB: SEP USAID - GABLE,(UPIC, ICET) - QUEST (SMC-EQ, IEQ).
就学前教育
DFID – ESSP, PCAR CIDA – GSES GTZ – MIITEP
図1:マラウイ国教育セクター開発支援状況と我が国の協力
UNICEF – Basic Education Programme
SMASSE INSET MALAWI システム構築 システム構築のためのパイ 構築のためのパイロット・プログラム のためのパイロット・プログラム プログレス・レポート II 要約 3) マ国教育セクター 国教育セクター支援 セクター支援の 支援の課題と 課題と日本による 日本による支援 による支援の 支援の比較優位 先に述べたとおり、初等教育への過重な支援は、限られた資源の中で他のサブ・セクター支援 へしわ寄せが来ている。特に、1994 年に初等教育の無償化により拡大した就学者が中等教育に押 し寄せてきており、それに対応するためにマ国政府は 98 年にそれまで遠隔教育センターとして 利用されていた DECs を Community Day Secondary Schools (CDSS)として中等教育機関に格 上げした。しかし、施設、教員の質ともに実質的な中等教育を実施するには不十分である。特に、 教員の質の問題は深刻である。中等教育教員総数 5,905 名のうち、中等教育教員としての資格で ある Diploma 以上を持っている教員数は、2,059 名と全体の約 34.9%にしか満たない。その必要 な資格に達していない未資格教員の中でも、CDSSに在籍している教員数は、3,500 名、全体 の未資格教員数の、91%を占め、CDSS の教員全体の 86%は未資格教員であるという状況である。 このような状況の下、我が国は図 1 のとおり、教育省への教育行政アドバイザーの派遣、教育 行政のキャパシティ・ビルヂィングを目的とした開発調査「全国地方教育開発計画策定支援 (NIPDEP)」 、ドマシ教員養成大学(DCE)を中心とした中等教育現職教員再訓練システム構築 のためのパイロット・プロジェクト準備支援(SMASSE INSET Malawi) 、DCE の施設改善を 目的とした無償資金協力(基本設計調査段階)などを実施している。これまでの支援は、各プロ ジェクトが独立して計画・実施される「点」としての支援であったが、上述のようなマ国教育セ クターのアンバランスな支援形態を是正するためにも、今後はこれらをお互いが有機的に連携し 補完し合うような「面的」な支援へと発展させていく必要がある。 図2は、今後のわが国によるマ国教育セクター支援の「プログラム支援化」に向けたコンセプ トを示したものである。大きく分けて 3 つの層から成る支援を想定している。 まず、第一の層は、中等教育・中等教員養成教育、特に理数科教育強化支援を目的としたもの である。中等教員養成教育支援については、CIDA が未資格教員の「資格」のアップグレードを 目的に遠隔教育手法による SSTEP プロジェクトを実施中であるが、SSTEP は教員の「知識ベー ス」の向上、そして SMASSE はその知識を授業の中で如何に効果的に伝えていくかという「教 授法ベース」の向上を支援するということで双方の協調連携を行っていくことで合意している。 また、DCE においては、現在、我が国無償資金協力によつ施設改善計画の基本設計調査が実施さ れており、その協力コンポーネントとして「デモンストレーション・セカンダリー・スクール(モ デル中等学校に相当) 」が含まれており、ここを舞台として SMASSE INSET を実施していけば、 ハード面とソフト面の調和した形態の支援が期待できる。 第二の層は、教育行政のキャパシティ・ビルヂィング支援を目的としたものである。我が国は、 2000 年から 2002 年まで開発調査「全国スクールマッピング・マイクロプランニング調査」を実 施し、全国 33 教育行政県の「地方教育開発計画:District Education Plan (DEPs)」作成支援を 行った。そして 2003 年1月から 2004 年 12 月の予定でそのフェーズ 2 という位置づけで、「全 国地方教育支援計画策定調査:National Implementation Programme for District Education Plans (NIPDEP)」を実施している。本支援は、マ国における地方分権化政策実施促進の一環と して地方教育行政の計画・実施能力強化を目的としているものである。効率的かつ効果的な教育
SMASSE INSET MALAWI システム構築 システム構築のためのパイ 構築のためのパイロット・プログラム のためのパイロット・プログラム プログレス・レポート II 要約
第 3の 層 第 2 の層
教育行政キャパシティ・ビルディング 教育行政 キャパシティ・ビルディング : NIPDEP パイロット地区 パイロット地区 第 1 の層
中等教育& &中等教員養成 中等教育 無償資金協力
ドマシ教員養成大学 ドマシ教員養成大学 (DCE)
South East Division
SMASSE INSET Malawi 域内協力
SMSSE WECSA NETWORK
アフリカ域内協力 アフリカ域内協力
図 2:マ国教育セクター「プログラム支援化」のコンセプト 行政は、各サブ・セクターへの活動効果を更に高める効果を有し、第一の層で想定している 中等教育・教員養成教育の支援の効果を左右する重要なものである。マ国教育開発政策の計 画・実施を担う教育行政、特に地方分権化の流れの中で地方における教育行政能力を高める ための支援を実施することにより、それぞれの支援が相互補完的なものになることを期待す る。 そして第三の層は、ケニアで実施中の「中等理数科教育強化プロジェクト:Strengthening Science and Mathematics in Secondary Education (SMASSE)」を中心とした中等理数科教
SMASSE INSET MALAWI システム構築 システム構築のためのパイ 構築のためのパイロット・プログラム のためのパイロット・プログラム プログレス・レポート II 要約
育のアフリカ域内協力ネットワークである SMASSE-WECSA のもと、マ国における中等理 数科教育を支援していくものである。SMASSE INSET Malawi は 2001 年から技術交換協力 や第三国研修・専門家派遣、合同ワークショップ等を通じて、域内協力を発展させつつ実施 してきた。周辺国において中等理数科教育教科という共通の課題について、域内のネットワ ークの中でリソースを共有しながら取り組んでいくことは、アフリカによる開発イニシアテ ィブである「アフリカ開発のための新しいパートナーシップ:New Partnership for Africa’s Development: (NEPAD)」の精神を支持するものである。 このように、3 つの層による支援を実施していくことにより、相互の活動効果を支援しあ い、個々が独立した「点」としての支援から、お互いが有機的に結びついた「面」としての 広がりを持つ効果的な支援へと移行していくことが期待される。また、いずれの支援もアフ リカのみならずアジア諸国においても我が国技術協力の経験として実績のある分野であり、 他開発パートナーの協力間に比較優位を保てるものと考えられる。
4) 「プログラム支援化 プログラム支援化」 支援化」へ向けたスケジュール案 けたスケジュール案 表3は、現在実施中の教育セクター支援プロジェクトの今後の進行状況を示している。こ れから、これらを発展した形態である「プログラム支援化」へのシナリオとして以下の 3 つ が考えられる。 A)
2003 年 12 月/2004 年 1 月~: SMASSE INSET Malawi システム構築のための準備プ ログラムの第 2 ステージが終了した時点
B)
2004 年 4 月/5 月~:
NIPDEP のパイロット・プロジェクト第 1 年目が終了 した時点
C)
2004 年 12 月/2005 年 1 月~: SMASSE INSET Malawi システム構築のための準備プ ログラムの第 3 ステージが終了した時点
年
2003
会計年度
月 NIPDEP
無償資金 協力 SMASSE シナリオ
2004
2005
2003 6
7
8
9
10
11
2004 12
1
2
3
4
パイロット・プロジェクト 1
5
6
7
8
9
10
05
11
12
1
2
3
パイロット・プロジェクト2
計画実施(予定)
基本設計調査
*閣議・E/N 署名時期によって 1 年ほど遅れる可能性あり
ステージ2
ステージ3 (A)▲
(B)▲
(C)▲
表3:現在進行中のプロジェクトのスケジュールとプログラム支援化へ向けたシナリオ案
4
SMASSE INSET MALAWI システム構築 システム構築のためのパイ 構築のためのパイロット・プログラム のためのパイロット・プログラム プログレス・レポート II 要約
それぞれのシナリオ案の評価を以下の指標によって試みる。 (a)
各プロジェクトへの貢献度:
この指標はプログラム支援化が現在実施中の個々のプ ロジェクトに与えると考えられるプラスのインパクト を測る。
(b)
プログラム支援化の効果性:
個々のプロジェクトを統合化するタイミングとしての 効果を測る。
(c)
プログラム支援化の効率性:
プログラム支援化することによる効率性を測る。
(d)
マ国側のオーナーシップ:
マ国側のオーナーシップの度合いを測る。
(e)
マ国側の予算措置状況:
マ国側でプログラム運営に係る予算措置のコミットメ ントがどれほどできるかを測る。
(f)
プログラムの持続性
プログラム支援化する上で、どのタイミングが持続性を 保つ上で適切化を測る。
表4は、上述の指標によって3つのシナリオを評価したものである。 指標
(a)
(b)
(c)
(d)
(e)
(f)
総合評価
A
◎
○
○
○
○
○
1
B
○
◎
○
○
△
○
2
C
△
△
◎
○
△
○
3
シナリオ
表4:3 つのシナリオの評価 (a)の「各プロジェクトへの貢献度」については、個々のプロジェクトを統合しより総 合的な「プログラム支援化」へと早く移行すればするほど、実施中のプロジェクトへもより プラスの影響が考えられる。特に、SMASSE INSET Malawi システム構築のための支援に対 しては、より組織だった効果的な支援が期待できる。 (b)の「プログラム支援化の効果性」では、NIPDEP のパイロット・プロジェクト第 1 年目が終了してその結果を踏まえた上で「プログラム支援化」へと移行することにより、課 題や教訓を内部化したプログラム形成ができることからシナリオBが最も適当と考えられる。 しかし、パイロット・プログラム第 2 年目が終了した段階ではタイミングとして若干遅いと 思われる。SMASSE INSET Malawi という中等教員養成教育というサブ・セクター支援の体制 を整えた上で、NIPDEP というサブ・セクターを側面で支援する役割である行政面での支援強 化をすることが望ましい。 (c)の「プログラム支援化の効率性」から見ると、SMASSE INSET システム構築と NIPDEP が終了した時点で 2 つのプロジェクトを同時に統合するというシナリオCが最も適当である。 (d)の「マ国側のオーナーシップ」、(f)の「プログラムの持続性」については、これ ら 2 つの指標を、1)マ国側の積極的な政策面でのコミットメント、2)予算、人的資源の 適切な割り当て、3)プログラム活動を支援するための体制、で図るならば、2003 年 5 月時
SMASSE INSET MALAWI システム構築 システム構築のためのパイ 構築のためのパイロット・プログラム のためのパイロット・プログラム プログレス・レポート II 要約
点でこれらの要素を満たしているため、3 つのシナリオ間でそれほど差異は認められない。た だし、2003/04 年度(2003 年 7 月~2004 年 6 月)ドマシ教員養成大学とパイロット地区と想 定している South East Division とで予算計上されているものが必要なタイミングで必要な場所 に執行されることが条件となる。 したがって、(e)の「マ国側の予算措置状況」が重要な要素となるわけだが、現時点で予 算計上されているとはいえ、予算がある程度執行された後の年度末、または来年度以降どの ような措置がされるかは未知数であり、そういう意味では、シナリオBとシナリオCは不確 定要素がより大きいと考えられる。 結論としては、シナリオ A またはシナリオBが「プログラム支援化」へ向けて現在実施中 のプログラムを徐々に統合していくことが望ましいと考えられる。
5) プログラム支援化案 プログラム支援化案 以下、マ国教育セクターのプログラム支援化を提案する。プログラムは、1)中等理数科 教員再養成システム構築を目的とした SMASSE INSET Malawi、2)教育行政のキャパシテ ィ・ビルディング強化、の大きく 2 つのコンポーネントからなる。 <コンポーネント1 > コンポーネント1:SMASSE INSET Malawi> プロジェクト期間:5 年間(60ヶ月) 上位目標 プロジェクト目 標 期待される成果
主な活動
マ国において中等教員理数科現職教員を対象とした持続的な再訓練制度 (SMASSE INSET)が構築される。 (1) パイロット地区である South East Division に INSET 制度が構築される。 (2) INSET 制度によりパイロット地区の中等理数科教育の質が向上する。 (1) ドマシ教員養成大学(DCE)にパイロット地区での INSET トレーナー養成 のためのシステムが確立される。 (2) パイロット地区に中等理数科現職教員のための INSET 制度が確立され る。 (3) パイロット地区における中等理数科教育の教授法能力が向上される。 (4) INSET 実施に必要なリソースがドマシ教員養成大学において強化され る。 1-1: パイロット地区において INSET トレーナーを選定する。 1-2: DCE において INSET トレーナーを再訓練する。 1-3: INSET のモニタリング・評価を実施する。 1-4: INSET フォローアップ活動を支援する。 2-1: パイロット地区において INSET 訓練対象者と学校を選定する。 2-2: パイロット地区の INSET 対象校の理数科教育学習環境を向上する。 2-3: DCE において INSET を実施する。 2-4: パイロット地区において中等教育・中等教員養成教育のマネジメント能 力キャパシチィ・ビルディングを教育事務所関係者及び学校関係者に対 して実施する。 3-1: パイロット地区において中等理数科教育の課題とニーズの調査、分析、 評価を行う。 3-2: 教科教授法、Pre-Service コースにおける理数科教育教授法について調 査を行う。
SMASSE INSET MALAWI システム構築 システム構築のためのパイ 構築のためのパイロット・プログラム のためのパイロット・プログラム プログレス・レポート II 要約
対象地区 対象グループ 投入
監督機関 実施機関 *日本側の投入案
3-3: カウンターパートのプロジェクト運営能力を強化する。 3-4: INSET のためのカリキュラム・シラバスを開発、作成する。 3-5: INSET のためのトレーニング・マニュアルを開発、作成する。 3-6: ローカル・リソースを最大限活用した教員向け教授法マニュアル、理数 科実験マニュアルを開発、作成する。 3-7: 学習リソースのマネジメントのためのマニュアルを開発、作成する。 4-1: 必要なときに教科に関する中学校間での情報交換ができる仕組み(理数 科教育協会など)を構築する。 4-2: 理数科教育活動を必要に応じ実施する。 South East Division 未資格の中等理数科現職教員 1. マラウイ側: a) 業務用オフィスなどの施設提供 b) ドマシ教員養成大学におけるカウンターパート c) 教育省におけるカウンターパート d) 活動運営に必要な資金(カウンターパートなどへの手当など) e) INSET 参加者への費用の一部 2. 日本側*: a) (本邦/第三国)長期専門家派遣 b) (本邦/第三国)短期専門家派遣 c) カウンターパート(本邦/第三国)研修の実施 d) 必要な資機材の供与 教育科学技術省 ドマシ教員養成大学 配属・配布先 ドマシ教員養成大学
技術協力
本 邦 専 門 家 / 教育省 教員養成局/教授法助 第三国専門家 言局(EMAS) 教育省計画局1 ドマシ教員養成大学
人数・数量 2~3 名 1名 1名 1~2 台
車輌 South East Divisional Office 資機材供与 オ フ ィ ス 機 器 ドマシ教員養成大学 (コピー・輪転 South East Divisional 機・コンピュー Office ターなど) コア中等学校 参考図書 カウンター 本邦/第三国 パート研修
1
ドマシ教員養成大学 ケニア SMASSE
1台
要協議
要協議 10 名~30/ 年
プログラム全体のチーム・リーダーを担う。コンポーネント2と共通。
内容 数学、生物、科学技術科目 の教授法改善指導 局内の中等教育教員養成に 計画立案・モニタリング能 力向上のための技術支援 チーム・リーダー マイクロバス(INSET 参加者 送迎用)、ピックアップ: INSET モニタリング指導・調 査用 INSET モニタリング指導・調 査用 教材作成、ネットワーク強 化のため。
教材作成、プログラム実施 運営のため SMASSE 教授法の習得 INSET 運営能力の向上
SMASSE INSET MALAWI システム構築 システム構築のためのパイ 構築のためのパイロット・プログラム のためのパイロット・プログラム プログレス・レポート II 要約
<コンポーネント2 コンポーネント2:教育行政キャパシチィ・ビルディング 教育行政キャパシチィ・ビルディング> キャパシチィ・ビルディング> プロジェクト期間:3~5 年間(36~60 ヶ月) 上位目標 プロジェクト目標 期待される成果
主な活動
対象地区 対象グループ 投入
監督機関 実施機関
マ国における教育行政能力が強化される。 マ国における地方教育開発計画(DEPs)実施のための教育行政体制が構築さ れる。 1) DEPs を更新するための持続的なシステムがパイロット県教育事務所に おいて構築される。 2) 地方教育行政官に対する教育行財政運営の持続的なトレーニング制度 が構築される。 3) 教育セクターにおける計画・実施・モニタリング・評価活動能力が向上 する。 4) 教育本省と地表教育事務所間での協働関係が強化される。 1-1: 教育省、地方教育事務所における対象研修生を特定する。 1-2: DEPs 更新のための研修を実施する。 1-3: DEPs 更新のためのスケジュール及び各教育事務官の役割分担を明確 化する。 1-4 教育財政運営能力を強化する。 2-1: 教育行政能力研修を通してのキャリア開発のガイドラインを開発、作 成する。 2-2: 教育行政マネジメントのための研修、セミナーを実施する。 2-3: 教育行政官、各部署の活動評価ガイドラインを開発、作成する。 2-4: 教育行政の各レベルに応じて能力開発のための研修を実施する。 3-1: 各行政レベルにおける教育行財政政策・実施能力に関する課題、ニー ズについて調査、分析、評価を行う。 3-2: カウンターパートのプロジェクト運営能力を向上する。 3-3: 各行政レベルにおける研修教材を開発、作成する。 3-4: 各行政レベルにおける教育行政運営マニュアルを開発、作成する。 4-1: 中央と地方の教育事務所との効果的、効率的情報フロー制度を構築す る。 4-2: 必要に応じて教育行政能力向上に関する活動を促進する。 全国 教育本省、地方教育事務所 1. マラウイ側: a) 業務用オフィスなどの施設提供 b) 教育本省(リロングウェ) 、ムズズ(North) 、ブランタイヤ(Centrsal West)教育事務所におけるカウンターパート c) 活動実施に必要な資金(カウンターパートなどへの手当など) d) 活動運営費用の一部 2.日本側*: a) (本邦/第三国)長期専門家派遣 b) (本邦/第三国)短期専門家派遣 c) カウンターパート(本邦/第三国)研修の実施 d) 必要な資機材の供与 教育科学技術省 教育省(リロングウェ), North Divisional Office(ムズズ), South West Divisional Office(ブランタイヤ) 、各県教育事務所
SMASSE INSET MALAWI システム構築 システム構築のためのパイ 構築のためのパイロット・プログラム のためのパイロット・プログラム プログレス・レポート II 要約
*日本側の投入案
技術協力
資機材供与
本邦専門家/ 第三国専門家
車輌
配属・配布先
人数・数量
内容
教育省計画局1
1
チーム・リーダー
North Divisional Office (ムズズ)
1
South West Divisional Office (ブランタイヤ)
1
教育行財政計画・実施・ 運営・モニタリング・評 価に係るキャパシティ・ ビルディングのための技 術支援
教育省 (リロングウェ)
1
North Divisional Office (ムズズ)
1
South West Divisional Office (ブランタイヤ) パイロット地区
オフィス機器 本邦、アフリカ カウンター 域 内 / ア ジ ア タンザニア・コロンボプ パート研修 ‐ ア フ リ カ ラン事務局など 南々協力
効果的な活動実施のため
1 要協議 10-20/年
教育行政能力強化